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FASHION JUN 12,2021

iI+iI Woman #2
スタイリスト細沼ちえさんの“アイ”

気になる人の“iI(アイ)”を探して。


iIディレクター兼URBAN RESEARCH BUYERS SELECT(URBS)レディースバイヤー森口愛が“いま気になる人”をお招きし、ゲストのパーソナル(i)や仕事・趣味などの(愛)を通して世界観に迫ります。

第2回のゲストは『FUDGE』などの雑誌を始め、カタログや広告などで活躍する人気スタイリストの細沼ちえさん。ファッションにまつわるトークだけでなく、趣味の旅行についても深掘り。さらに、iIのアイテムを使用した細沼流カラーMIXコーデを紹介していただきました。

※ 撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

左)細沼ちえさん / スタイリスト
スタイリスト青木寿里加氏に師事後、2009年よりフリーランスのスタイリストとしてファッション誌を中心にカタログ、広告、webマガジンなどで活躍中。最近はインテリアやプロップのスタイリングなども手掛ける。Instagramで発信している#150cmのハッシュタグをつけた私服コーデは、自分らしくファッションを楽しみたい小柄な女性のお手本として人気。
https://www.chiehosonuma.com/
Instagram:@ chienuma

右)森口愛 / iI ディレクター・URBS レディースバイヤー
バイヤー歴1年半。個性的なセンスを生かし、自身のブランドiIを立ち上げる。最近ハマっているものは漫画。オススメの漫画情報を毎日求めている。
Instagram:@ aiboooon0622

細沼ちえさんの“アイ”(i=PERSONA(ペルソナ))

森口 ずっとお会いしたかったので参加いただけてとても嬉しいです。いろいろなお話を聞いていきたいと思いますが、まずはスタイリストになろうと思ったきっかけから教えていただけますか。

細沼 もともと子供の頃から洋服のコーディネートを組むことが好きで、スタイリストになりたいという思いはその頃からありました。私の時代はスタイリストになるには「都内在住」で「服飾学校出身」じゃないとダメとか、条件も厳しく激戦だったんです。何件か応募したものの、落選。学校卒業後はアパレルの会社に就職しました。5年くらい働いた頃、「この先どうしていくんだろう……」というような行き詰まりを感じ、突如仕事をやめてカナダのカルガリーに滞在していた姉のもとに行きました。姉にスタイリストになりたいという気持ちを吐露したら、「やりたいことがあるんだったら、始めるのに遅いことはないからやったほうがいいよ」と言ってくれて。周りにいた姉の友人たちも背中を押してくれました。

森口 素敵なエピソードですね。

細沼 今となっては、あの旅が今の自分に繋がるきっかけだったのかなと思います。日本に帰ってきてからは、とりあえず周りの人にやりたいことを言うようにしてみました。そうしたら、知人がスタイリストのアシスタントの事務所があることを教えてくれて、すぐさま登録をして、まずはそこでいろんなスタイリストの元で働かせてもらうことができました。当時から、青木寿里加さんのアシスタントにつきたいと思っていたので、なんとか繋がりたいと周りに話していたら、ヘアメイクのアシスタントだった友人が、たまたま青木さんと同じ撮影現場になり、本人から連絡先を聞いてくれたんです。すぐに連絡をしたところ、事務所に入って実務を経験していたことと、社会人を経験していたということもあって無事に採用。アシスタントにつくことができました。

森口 すごいご縁ですね。

細沼 やりたいことを口に出して誰かに伝えることの大切さを身をもって実感しました。

森口 ところで、細沼さんはご自身の名義でジュエリーブランド「chie hosonuma.jw」もされていますよね。このブランドを始められたきっかけについても教えていただけますか?

細沼 これまで自分がつけたいなと思えるジュエリーに探しても出会えなくて、大人っぽすぎず、ちゃんと私らしいものってなかなかないし、デザインが気に入っても素材がおもちゃみたいだったりで……。それはそれで可愛いんですけど、手軽に買って使い捨てていくのは嫌だったので、だったら自分で作ろうと思ったのがきっかけです。最初は本当に売る気はなく、自分のためのものとして作っていたのですが、周囲に後押しされてブランドを始めることになりました。

森口 細沼さんがデザインをされているのですか。

細沼 はい。私が描いたイラストを元に、ジュエリー職人をしている友人にサンプルを作ってもらい、そこからあーだこーだ言いながら形にしています。友人には私の注文が多くて「めっちゃうるさい」って言われるんですけど(笑)。

森口 そのこだわりが、モノづくりにおいて本当に大事な部分ですよね! 素材は、純金をメインに使われているんですね。

細沼 そうなんです。金って劣化することもあまりないですし、溶かして新しいものに生まれ変わらせることもできる。特に若い世代には、チープなアクセサリーも可愛いけれど、本物を知る大切さも分かって欲しいと思って作っています。親から子に、そして孫にと受け継がれるものって、ビカっと大きな石のついたジュエリーだったりすることが多いと思うのですが、そういうものではなく、10代からでもつけられて、カジュアルに使えるものを、親から貰ったら、長く大切にできるだろうなと思って。そういった受け継ぐ精神を分かってもらえたら嬉しいですよね。

森口 本当に素敵です! あとは、オンラインショップも運営されていますよね?

細沼 オンラインショップは、西アフリカのシエラレオネへの旅がきっかけで始めました。もともとアフリカのファブリックが好きで、何か買ってこようと思っていると友人に話したところ、ポップアップの話を提案してくれて。それがきっかけで販売をスタートすることにしました。

森口 旅行をきっかけに買い付けを始められたんですね。

細沼 はい。旅をしているときにこのようにまだ日本に浸透していないものや、カラフルで可愛いものとかをもっと知ってもらえたら、という気持ちはあったけど、まさかショップを始めるとは思ってもみませんでした。

森口 お仕事の枠に捉われずにいろいろとチャレンジされている、その行動力がすごいです! 細沼さんの好きなことややりたいことを周りの人たちが分かってくれていて、引き寄せている感じがしますね。「やりたい」と思ってもできないことのほうが多いから。

細沼 そうですよね、本当にありがたいなって思います。

細沼ちえさんのファッション“アイ(愛)”

森口 ここからは細沼さんのファッション哲学について深掘りしていきたいなと思います。まず、今までどんなブランドやテイストが好きでしたか?

細沼 もともと古着が好きです。「別にジャンル分けしなくていいじゃん」って私は思っていたので、テイストと言われるとすごく難しいですね。100円から洋服が売っているような下町の古着屋さんから、ハイブランドも見るし。本当にジャンルは問わないです。

森口 なるほど、そのMIX感が細沼さんのスタイリングの魅力なんですね。

細沼 スタイリングを組むときやアイテムを選ぶときのポイントは、完全に自分の感覚です。作り手のストーリーがあるものとか、民族系のアイテムが好きなので、刺繍や手仕事を感じるものを手に取りがちです。

森口 細沼さんといえば、色使いがお上手なイメージがあります。インスタとかをみていても“色”がキーワードになっている気がしていて。スタイリングや日々の生活の中で“色”を意識するようになったきっかけは何かありますか?

細沼 以前、冬の通勤時間に大勢の人が黒い服を着て、スマホを見ながら下を向いてどんよりと歩く姿を見て、「あー、なんかお葬式みたいだな」って思ったことがあって。元々、陽気な国を旅することが好きだったので、それらの国を思い起こしてみても、明るい色の服は着る人の気分を明るくしたり、陽気にさせるという心理的な作用もあるので、もっと日本人にも色柄ものを着てもらいたいと思ったのがきっかけです。私自身も色柄ものを着ている時の方が気分が軽やかな気がします。あとは、子供の頃から庭にお花がいっぱい咲いていたり、お弁当もカラフルだったり、常に色が近くにあったというのも大きいかな。

森口 小さい頃に触れるものって、すごい影響されていたりしますよね。色合わせのMyルールはありますか?

細沼 クリスマスカラーにならないようにとかですかね(笑)。

森口 色でイメージが強くならないように?

細沼 トーンを変えたり、色柄の強さのバランスを調整するようにします。あとは、TPOも考えて下品にならないようにしています。たとえばネオンを使いすぎたりしないとか。

森口 そこが一番難しかったりしますよね。

細沼 考え方としては、色の色環の中で向かい合う補色と呼ばれる色は組み合わせが難しくなると思うんです。紫と黄色とか。そこが一番ハイレベルと考えて、隣り合うような近い同系色から徐々に合わせていくとトライしやすいかと。あと、色に慣れていない人はボトムや小物から取り入れると合わせやすいかもしれません。顔まわりって自分の目に映ることが多いパーツなので、ここに色柄を持ってくるのはハードルが高い人も多いはず。ボトムだけカラーにする、などから始めると色柄ものを取り入れやすいのかなと思います。

森口 確かにそのルールは取り入れやすそうです。では、細沼さんにとってのミューズ的な存在はいますか?

細沼 特定のミューズというのはいないのですが、「あ、かわいいな」と思うのは海外のおばあちゃんやおじいちゃんとかですね。海外だと、年配でも普通にカラフルな服をおしゃれに着ている方が多いんです。旅をするとよく思うんですけど、そういう方たちっていいものに対しては素直にいいって言うので、「あなたの服素敵ね」って声をかけてくれることが多いんですよ! それがやっぱり嬉しいし、ファッションをきっかけにコミュニケーションが取れることが素敵ですよね。

森口 服がコミュニケーションツールになっているんですね。

細沼 そうなんです! 私も声をかけてきてくれた人に、「この辺の素敵なお店を知っていたら教えて」って聞いたり、さらに教えてもらったお店の店員さんにも聞いたりして、その街の人が本当にいいと思って通うお店を数珠繋ぎのように教えてもらうことが楽しいです。

森口 細沼さんの人柄とコミュニケーション力の賜物ですね。ちなみに過去の旅で印象的だった国はありますか?

細沼 行ってみてイメージが変わったのは、イスラム圏のチュニジアですね。イスラムって言葉だけで日本では「怖い」というイメージがついてしまっていますが、全くそんなことはないんです。すごくみんな優しいし、色合わせだったり柄と柄を組み合わせるセンスも長けていて衝撃を受けました。もう一度行くとしたら、チュニジアに行きたいですね。

森口 行ったことがないので、気になります! 旅行に行かれるときの必需品はありますか?

細沼 アウトドアブランドの防水のアウターとインナーダウンは必ず持っていきます。暑い国でも飛行機の機内や、現地の長距離バスなどの空調が強いので。もはや冷蔵庫のように感じる時もあります(笑)。あと、レストランにも履いて行けるフラットシューズとクリアファイル。クリアファイルは普通のA4サイズのもので、旅の途中で見つけたチケットやデザインが好きなフライヤーとかをファイルに入れて持ち帰るようにしています。

森口 旅行中のスタイリングのポイントも教えて欲しいです。

細沼 着回し、機能性、動きやすさ、軽さがポイントです。旅先では長期滞在をすることが多く、現地のコインランドリーに行くこともあるので、気にせず洗えて、なおかつシワにならないとか、そういった機能性を求めますね。くるくるっと丸めて小さくなるとか。

森口 旅先で荷物も増えちゃうので、いかにコンパクトにするかはとても大事ですよね。旅行のお話をたくさん聞けて、とてもワクワクしました。では、次は普段の服選びのポイントも教えていただけますか?

細沼 まず考えるのは天気です。雨の日にレザーやスウェードの靴は履きたくないじゃないですか(笑)。決めるときはまず主役から。雨だったら足元から決めるし、帽子を被りたい日は帽子からだったり。着たい服があったらそれに合わせて組んでいく感じですね。

森口 とても参考になります! あと、細沼さんといえばインスタグラムでの #150cm が気になっていました。実は私も153cmでして…小柄だからこそできるスタイリングの楽しみ方を知りたいです!

細沼 例えば、メンズの服がゆるっとワンピースくらいで着られたりすること。ロングスカートも胸元まで上げればワンピースになったりと色々着まわせるので便利ですよね。あと、子供服が着られること。海外ブランドのものだったら普通に着れちゃうので。

森口 確かに子供服にはカラフルで可愛いものもいっぱいありそうですよね。

細沼 そうなんです! あと大柄もの。大胆な柄ものって、背が高い人からすると目立ちすぎちゃって着づらいと言われることが多くて。小柄な人の方が着やすいのかなと思います。

森口 このコンパクトさだから気にせず着れちゃうということはありますよね。では、そんな細沼さんから見たiIの洋服の印象についてお伺いできますか?

細沼 iIのアイテムは、シャーリングなどを調整することで色んな着方を楽しめるところがいいなと思いました。あとは、シルエットがすごい考えられているなと。スカートの形や、ブラウスの袖や背中のボリュームがふわっとする感じとか、すごく考えられていて素敵ですよね。

細沼ちえさんのiIスタイリング

STYLE 1

FUMIE=TANAKA through camisole ONE-PIECE ¥56,100 (税込)
iI tuck denim ¥25,300 (税込)
REJINA PYO Leni Mules ¥49,500 (税込)
その他スタイリスト私物

細沼 夏は特に白などのパンツを一本持っていると、色を合わせたコーディネートを作りやすいのでおすすめです。合わせる他のアイテムを同系色でまとめると色や柄を取り入れやすいので、インナーとワンピースを緑で合わせました。シースルーの色ものを持ってくると透け感もあり、合わせやすいと思います。私の中でこのルックは色柄を取り入れるときの初級編のコーディネートですね。

STYLE 2

WANDERUNG open coller shirt ¥33,000 (税込)
IHNN WASHI TANK TOP ¥26,180 (税込)
iI shirring skirt ¥33,000 (税込)
WANDERUNG 【URBS別注】 exclusive thong sandals ¥17,600 (税込)
その他スタイリスト私物

細沼 柄と柄を合わせた中級編のコーディネート。メインとなるボトムのベースの色を拾って、柄と柄の色が近い色にするとまとまりやすいです。着方を工夫して、肌の露出を増やすなど、抜け感があるとバランスよく着られると思います。

森口 肩の落とし方も絶妙ですよね。素材の組み合わせで気をつけることはありますか?

細沼 インナーのタンクトップがコットン素材でカジュアルに見えがちなので、とろみのある素材を合わせると大人っぽく仕上がりバランスが取れます。逆にカジュアルにメンズっぽく着こなしたいときには、コットンシャツに変えると印象が変わると思います。

STYLE 3

iI check shirring blouse ¥30,800 (税込)
iI tuck denim ¥25,300 (税込)
WANDERUNG flat shoes ¥17,600 (税込)
その他スタイリスト私物

細沼 これは色合わせの上級編。赤のパンツに対して補色となる緑の靴を持ってきたので、少し難しく見えるかもしれませんが、このくらいビビッドに合わせても可愛いのでぜひトライしてみて欲しいです。

森口 緑はクリスマスカラーにならない緑というのもポイントですね。

細沼 そうですね。今年はピスタチオグリーンなどの柔らかい緑色が多いのでそういった色と合わせるのがおすすめです。

森口 ボリュームのある服に対して、アクセサリー選びのコツはありますか?

細沼 今回はトップスに甘さがあるので、コーディネートを締めるためにクールなアクセサリーを選びました。甘く見せたい時は服のボリュームを生かし、ちょっと締めたい時は今回つけているようなストレートのラインのアクセサリーをつけたりすることでバランスをコントロールできます。

森口 初級編から上級編まで、トライしてみたくなる着こなしのアドバイスありがとうございます! 最後に、細沼さんの考える“これから”のファッションについて教えてください。

細沼 これからのファッションは消費ではなく循環できるシステムに変わるといいと思っています。例えば、全世界でセールをやめてみるとか。そうしたら、物の適正価格なども見直されて、もっと一人ひとりが物を大切にすると思うんです。実際に、私は夏にコーデュロイを着ることもあれば、冬にシースルーを合わせたりとスタイリング次第で着られるので。そのシーズンだけでなく、その先の提案まで売る側はしてもいいのかなって思います。

森口 そうですよね。iIでも大量生産、大量消費にならないように、ミニマルな生産体制でしっかりと自分が提案して売り切れる量を作るようにしています。一般的に春夏に秋冬とひっきりなしにコレクションが続いているので、そういうところから変えていけるといいですよね。

細沼 そうそう、シーズンに追われる従来のシステムってデザイナーも絶対に辛いと思うんです。本当に作りたいものや欲しいものを丁寧に作ってもらいたい。あとは、やっぱり受け継ぐということかな。私も親からもらったスカーフやアクセサリー、洋服とか今でも着ることが多いので、そうやってみんなで循環できるようになったらと思います。

森口愛から細沼ちえさんへの“アイ”

Instagramや雑誌で拝見していたイメージまんまの、ハッピーでパワフルな方でした。お会いすると元気をもらえる人ってこういう人だなと! スタイリストさんという枠に捉われず、行動にうつす!というバイタリティを感じて、私にとってすごく刺激的でした。洋服や、アクセサリーを受け継いでいくというお話はiIの考え方ともリンクするものがあり、とても共感ができました。業界としてもいい方向に変化しなければと改めて強く思います。

> iI 2nd collection

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フォトグラファー/紫前拓郎
スタイリスト/細沼ちえ
ヘアメイク/村上綾
モデル/桃井和音
取材・文/市谷未希子
編集/平井莉生

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