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FASHION OCT 01,2021

アーバンリサーチ バイヤー佐藤祐輔のココだけの話。
Vol.2 中編
〜セモー デザイナー 上山浩征さんに教えてもらった池尻のキューバサンドと、これからのビジョン〜

朝の美術館でインスピレーションを受けまくった後に、セモーのアトリエへ。上山さんが作る洋服はやっぱり佇まいが格好いい。そのあとは行きつけのカフェ〈ブレックファストクラブ〉でランチもご一緒させていただきました。


前編 〜セモー デザイナー 上山浩征さんと話す、アイデアの生まれ方について〜

※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえでインタビューを行っております。

佐藤 「僕はバイイングをするとき、あまり事前に計画を立てていかないんです。『前のシーズンであれが売れたから、今回も買おう』とか、そういうことをしないようにしています。特にセモーはそうかも。いいと思ったものを素直にお客様に届けたくなる」

上山 「佐藤さんはいつもフェアに洋服を見てくれるので嬉しいです」

佐藤 「僕的にはセモーは“リアルクローズの中のアバンギャルド担当”という感じ。ありそうに見えて、実はかなり個性的というか。絶妙に独特な佇まいを備えた服が魅力です」

上山 「世の中にすでにあるものを作っても仕方ないので、どうやってオリジナリティを出していくかというのは大事にしています」

佐藤 「このコートもすごく格好いい」

上山 「これはモーターサイクルをベースに色々な要素を組み合わせて作ったものですね」

佐藤 「セモーはもともとシャツからスタートしたブランドなので、クオリティが高い。毎シーズン期待しています」

上山 「天然染色を施していたり、着丈をかなり長くしたり、色々と工夫は凝らしています」

いかに、コピーじゃないものを作れるか

佐藤 「デザインをする上で気を付けていることっていうのはあるんですか?」

上山 「やっぱり、何かのコピーにならないようにすることかな。シャツもパンツもジャケットも、もうその形状は決まっていてそこから脱することは難しいけれど、少なくともどこかに“見たことない”要素は盛り込みたい。それと、時代性を消すということも意識しています」

佐藤 「時代性を消す。なるほど。だから独特でいながらリアルクローズという佇まいになるんですね」

佐藤 「セモーのルーツにはフランスのアンティークや古着がありますが、それはどういった経緯でたどり着いたんですか?」

上山 「洋服とともにアートや音楽なども掘り下げていたのですが、同じように文学も好きで、本も結構読んでいたんです。好きな作家を追っていくうちに1930年のヨーロッパのカルチャーにたどり着いて、その時代に活躍していたアーティストにも感銘を受けて、というのがきっかけですね」

アーティストコラボに注目!

佐藤 「セモーの服を通して伝えたいことなどはありますか?」

上山 「シンプルに楽しんでもらえるといいなと思っています。デッドストックの生地を使ったりしているので、時代を超えて愛されるヴィンテージのような文脈でも楽しんでもらえたら嬉しいし、アーティストとのコラボレーションでアートの文脈でも楽しんでもらいたい。例えば、アートにあまり興味がない人が、セモーの服を着ることによって必然的にアートも洋服も楽しんでいる。そういう状況ってすごい夢があっていいなって思うんで」

佐藤 「上山さんがキュレーションするアーティストコラボは僕もいつも楽しみにしています。アーティストとのコラボレーションって、実際簡単なことではないですよね?」

上山 「難しいことだと思うんですけど、僕はラッキーなことに多くのアーティストさんが信頼して任せてくれるので。僕はそれを真摯に洋服に封じ込めるだけ」

佐藤 「それもセモーというブランドのバリューですよね。上山さんのキュレーションを通じて、自分もその特別なコミュニティに所属して、感性を共有できる感覚になるというか」

上山 「難しい話はこの辺にして、そろそろランチにしませんか?」

佐藤 「確かに、腹減りましたね(笑)」

池尻で食べる最高のキューバサンド

上山 「ここはね、シャケ定食もすごく美味しくてたまに食べるんですが、どうしてもキューバサンドの誘惑に勝てなくて…」

佐藤 「いっつもそれ食べますよね(笑)」

上山 「次は違うものを食べようと思うんだけど…結局負ける(笑)」

佐藤 「じゃあ、今日は僕もキューバサンドで」

上山 「でも、今朝の美術館は、本当によかったでしょ?」

佐藤 「はい。ちょっとクセになりそうなくらい。美術館は朝がいいですね」

上山 「ぜひ続けてほしい」

佐藤 「ところで上山さんは、父親になって変わったことってありますか?」

上山 「圧倒的に変わった気がしますね。物理的なことでいうと単純に生活時間が変わりましたもんね。家族とシェアする時間がすごく重要になった。時間を全く気にしないでデザインするっていうことも無くなって、メリハリが生まれましたよね」

佐藤 「娘さん、おいくつでしたっけ?」

上山 「2歳になります」

佐藤 「作るものにも変化が生まれました?」

上山 「それはないと思うけど、ただ娘が着る物を見ていて、『その素材、気持ちよさそうだなー』とか思って、自分でも着てみたくなったりはします」

佐藤 「視点が独特(笑)」

上山 「子供を気持ちよくさせるための洋服っていっぱいあるんですが、それを見てすごいなって思う。おかげで自分の洋服のコンセプトをもっと深掘りするようになりました」

新しい時代の化学反応を生み出したい

佐藤 「なんか月並みな質問になっちゃいますが、今後の展望はありますか?」

上山 「僕は過去に執着しないところがあるように、未来への展望もあまりなくて(笑)」

佐藤 「目標とか、やりたいこととか」

上山 「もちろん、もっとブランドのメッセージを強めて、色んな人に届けたいとは思いますが、だからこれをしようっていう具体的なことは現時点ではないかな。今日も話したけど、そういうのって色んな人とのコミュニケーションで生まれてきたりするものだと思うので。そういう化学反応みたいなものがもっと起こせればとは思いますけどね」

佐藤 「今はそんな堂々とイベントができる時代じゃなくなってしまったけど、だからこそできる新しいことがありそうですね」

上山 「また違ったベクトルでね。たくさんの人に自分の価値観を知ってもらいたいし、それをミックスすることできっといい副作用が働くと思うし。自分が美術館に行くのもそういうことかも。『こんな見方する人いるの!?』っていう驚きと発見があって、それをシェアできる場所だから。

佐藤 「それって単純な“情報のシェア”じゃなくて、“価値観のシェア”ってことですよね」

上山 「情報を拡散するだけならSNSですぐできますからね」

佐藤 「確かに」

上山 「朝に美術館行って、好きな洋服を見て、おいしいランチしながら友人とワクワクすることを話す。今日は理想の1日でしたね」

Breakfast club
〒153-0043 東京都目黒区東山2丁目2-4
03-6886-8872

後編 〜セモー デザイナー 上山浩征さんと、宮崎地鶏の炭火焼き「きてん」へ〜 に続く!

Composition & Text: Jun Namekata
構成・文:行方淳

Photographer: Kanta Matsubayashi
写真:松林寛太

Instagram
佐藤祐輔(URBAN RESEARCH バイヤー) @ yskjohn

URBAN RESEARCH Men’s Official account @ urbanresearch_men

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