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FASHION SEP 03,2021

受け継がれる技術が宿る工場とデニムの話。

ダダダダダダダダ。ジーーーーーーー。カタンッ。
岡山の地で長年受け継がれてきたデニム縫製工場から聞こえる歴史のある音。
そんな岡山で半世紀近くデニムを縫い続けている『塩田被服興業株式会社』という縫製工場があります。そんな歴史ある工場を生産背景に持つ『株式会社シオタ』。今回は初めての試みとなるコラボレーションデニムをURBAN RESEARCHと製作。ユニークな名前が付いたそんなデニムが生まれた生産背景を探るべく、岡山へと向かいました。


『株式会社シオタ』ってどんな工場? <ショートインタビュー>

岡山市の中心地から離れた道路沿いに佇む『株式会社シオタ』。周りに繊維工場が密集する場所ではなく、取材時には西日に照らされた穏やかな白い外観が印象的だった。そんな『株式会社シオタ』について話を伺いました。

※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

今回、取材に対応していただいた生産管理部の市田 公明さん(写真左)とテキスタイル部の中川 隆之さん(写真右)

— まずは、『塩田被服興業株式会社』と『株式会社シオタ』の関係性を教えてもらえますか?

『塩田被服興業株式会社』は『株式会社シオタ』代表の義理の父の会社になります。現在、『塩田被服興業株式会社』は工場機能のみになっており、『株式会社シオタ』はOEM事業から製造準備やオリジナルブランド『CIOTA』の運営を行なっています。『塩田被服興業株式会社』の意思を継いで“シオタ”と名付けました。登記上の関係はなく完全別の会社になりますが、『塩田被服興業株式会社』の製造準備等のコントロールは『株式会社シオタ』で行ってます。よって製造などの業務内容は複合的に行いますが岡山、東京にわかれて業務しています。

— 岡山にはデニム工場が多数ありますが、他の工場に比べての強みなどはありますでしょうか?

『株式会社シオタ』では、自社工場含め『塩田被服興業株式会社』との連携により他社に比べ、特に商品の質にこだわりがあります。一見わかりにくい差別化ではありますが、企業機密のノウハウは多数あり、一度私たちの背景でデニム製造をしたら皆様そろっておっしゃるのが「何か違う!」と感じてもらえるのが最大の強みになります。また、うちのデニムをよく知っているお客さんにも「シオタっぽい」ってよく言われます。

— それはシルエットとかの差ではないという話でしょうか?

そうですね。シルエットとか形に関してはブランドさんによっていろいろ違ってくるので、それに対して縫製としてうちがやれることの差をなるべくつけていくようにしています。ステッチの入り方や基準としている縫い方など、古くからずっとやっている蓄積されたモノの差が出ているんだと感じています。それはいろいろある工場ごとのスタイルの差だとも思います。細かくはお話しできませんが、裏側ではmm単位以下の調整が行われていて、ただ日産縫製本数を追うだけの工場では同じノウハウを使っても不可能だと思います。

— 『株式会社シオタ』が出す“色”というのは、代々職人さんによって受け継がれているのでしょうか?

はい。新しい人が入ればその都度教えて継承していっています。特に『塩田被服興業株式会社』にいる職人は年齢が上の方が多く、最高齢の職人さんは70歳を超えている方もいますがまだまだ現役で頑張っています。その他の下請け工場でも年配の職人さんが現役で縫っているという話はよく聞きますね。カン止めとかボタンホールなどといった特殊ミシンを扱う工場での工程は「何年か後にはそれらの技術が出せなくなるよね」という危機感もあり、うちの会社に入れて会社中で全部できるようにしています。そういった職人さんたちが扱う特殊ミシンの技術を無くさないためにも、彼らが持っている技術を若い人に吸収させています。

— “シオタ”の表記が『SHIOTA』と『CIOTA』と分かれていますが、どういった違いになるのでしょうか?

先ほどの話にも出てきましたが、『株式会社シオタ』のOEM事業や生産販売業務などの部門は『SHIOTA』、オリジナルブランドとしての表記は『CIOTA』として分けています。今回のコラボレーションアイテムは『SHIOTA』としての表記でやる初の試みとなっています。

— 初めての取り組みとは光栄です。ありがとうございます。生地はどうされているのでしょうか?

今回の生地は井原市にある工場さんから仕入れています。ただ、うちは縫製を専門でやってはいるのですが、機場さんの協力を得てオリジナル生地も作っています。オリジナルブランドの『CIOTA』に関しては全ての生地がオリジナルです。また、他のブランドさんとの取り組みで「別注でオリジナルの生地を作ってください」という案件があれば、うちがお世話になっている機場さんに相談して生地を織ってもらい、その生地の販売をしたりすることもあります。

— 工場ならではの大事にしていることはありますでしょうか?

工場ならではとしてではありませんが、お仕事をさせていただいているお客様のブランドのニオイや色が大事なことだと思っています。私たち『株式会社シオタ』にご依頼いただいたOEM生産ですが、お客様のニーズに合った商品を作成するため、各アイテム専業の工場たちと常に協力しあって業務を進めています。シャツ屋さんにデニムパンツを作ってもらってもいい物が上がりませんし、私たちデニムパンツ屋に綺麗なシャツを縫製させてもお客様に納得してもらえる物が作れないので“適材適工場”の精神でお仕事を進めてベストな物を納品することを大事にしています。

— ちなみに、働いている方はみなさんデニムを穿いているのでしょうか?

男性スタッフのデニム着用率は高いです。かつ、SHIOTA製造のデニムしか足を通しません。弊社スタッフたちは当然ですが、違いがわかっているようです(笑)

— URBAN RESEARCHとの取り組みを始めてみての感想を教えてください。

正直、今回が初めてのお取り組みになりますので現時点ではわかりません(笑)。きっかけは、うちのデザイナーがURBAN RESEARCHの方と知り合いでして、その繋がりで話が進みました。企画は代表とURBAN RESEARCHの企画担当の方によって進めていきました。洗いの入っていないリジットデニムで製作したので、着用していった時に色落ちの加減などどんな感じで育っていくのかが楽しみですね。501や505といった定番シルエットでの発注をいただいたので、そういったモデルを得意とする『塩田被服興業株式会社』としては凄くやりやすかったです。あと、ボタンやリベットなども完全オリジナルで制作させてもらったのも良かったですね。今後に関してはどのようになるかは分かりませんが、各担当者の方々の商品への思いはしっかり感じています。

— 改めて、デニムの魅力について教えてください。

シンプルなアイテムなのですが追及し始めるときりがないぐらい奥深くて興味深く、ちょっとしたことで表情を変えてしまいます。タフなアイテムですが大変デリケートなところも魅力の一つですね。

— 今後、製作(チャレンジ)したいことはありますでしょうか?

特にありません(笑)。ただ、『株式会社シオタ』としては基本的にお客様ファーストなのでご希望の物をご希望のクオリティで上げることが最優先されます。よって毎回さまざまなお客様とお仕事をさせてもらうことがチャレンジになっています。

URBAN RESEARCH manufactured by SHIOTAのデニムについて

『SHIOTA』名義としては初の試みとなる今回のコラボレーションデニム。生地には海外のハイブランドからも認められるテキスタイルカンパニー『菱友商事』のオリジナルスーピマデニムを採用。縦糸と横糸にスーピマを使っているので、横糸(裏面)の肌の接地面が非常にやわらかい穿き心地になっているのも特徴。糸もオリジナルで作ったスーピマのムラ糸を使用し、それによってデニムのカジュアル感もプラス。更にシルケット加工を施すことで滑らさ、しなやかさ、光沢のあるデニムに仕上がった。織り方はシャトル織機で時間をかけて丁寧に織っているため、膨らみ感のある仕上がりになった。ちなみに王道デニムのLevi’sは13.5ozが主流であるが今回のオリジナルデニムは10.5oz。素材の軽さやオールシーズン穿けるというのも嬉しいポイント。そんなこだわりのデニム生地と『株式会社シオタ』による熟練の縫製技術が合わさったスペシャルな一本。モデル名もそれぞれに所縁のある人物名を配したところが実にユニーク。全3型それぞれについても説明していきます。

#RAMONE

Levi’s 505のシルエットをベースとしたスリムシルエットが特徴。名前はパンクロックバンドの中心的存在であったRAMONESより。彼らが当時穿いていたデニムがLevi’s 505だったというストーリーからの命名。

スーピマ DENIM パンツスリム #RAMONE by SHIOTA
style no : UR16-14B001
color : indigo / black
size : 28 / 30 / 32 / 34
price : ¥19,800 (税込)

#BOB

Levi’s 501がベースになったストレートモデル。Levi’sとの関わりも深いボブ・ディランは、1963年に発表した2ndアルバム『The Freewheelin’ Bob Dylan』のジャケット写真でもLevi’s 501をカスタマイズして穿いていたことから。

スーピマ DENIM パンツワイド #BOB by SHIOTA
style no : UR16-14B002
color : indigo / black
size : 28 / 30 / 32 / 34
price : ¥19,800 (税込)

#BEN

Wranglerの1stモデルがベースになったデニムジャケット。ハリウッド映画のカスタムテイラーであったロデオ・ベンを招いて企画し完成したWrangler 11MW。1stモデルとして、そしてプロトモデルとしても知られる名作。

スーピマ DENIM ジャケット #BEN by SHIOTA
style no : UR16-17B001
color : indigo / black
size : S / M / L
price : ¥28,600 (税込)

URBAN RESEARCH manufactured by SHIOTAのデニムスタイルって?

右: 東浦 佑樹 / 身長 173cm
(URBAN RESEARCH ミント神戸店)
Instagram @ yukihigashiura
WEAR @ yukihigashiura

左: 森山 拓 / 身長 171cm
(URBAN RESEARCH なんばCITY店)
Instagram @ moritaq
WEAR @ moriyama
UR STYLE
STAFF : 森山 171cm
着用モデル : WIDE #BEN size30
STAFF : 東浦 173cm
着用モデル : SLIM #RAMONE size30

最後は初のコラボレーションモデルとして誕生したこだわりのデニムを使ったスタイル提案を。これからの季節にチャレンジしたいセットアップスタイルやユルっと力を抜いたシャツやカーディガンを取り入れたスタイル。さまざまなスタイルに対応できるのは、やはりデニムの持つユーティリティさがあってこそ。リジットでもライトオンスのデニムで仕上がっているので、デニムが苦手な方でもリラックスして着こなせるはずだ。

URBAN RESEARCH
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取材・文/高松直
撮影(工場)/中島真美

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