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FASHION DEC 03,2019

ROSSO WOMAN 2019AW VOL.6


村上 萌
NEXTWEEKEND代表

誰でも気づきそうで気づかないこと、誰もが持っているのに表現できないこと、そんなことを、いつも声に出して楽しく提案してくれるのが、村上 萌さんだ。
彼女に多くの女性が惹かれる理由とは。

大学卒業後の、大きな決断

萌さんは、2010年に大学を卒業してから就職することなく、2011年に自ら「Garten(ガルテン)」という会社を設立した。「内定をいただいた会社が2社あったのですが、そこに就職したら当時から付き合っていたサッカー選手の夫のご飯も作れないし、試合も観にいけない生活になってしまうと思いました。この人と一緒にいながらやりたい仕事をやるにはどうしたら良いか正解がわからず、結局就職できませんでした。」しかし大学を卒業したての女性がフリーランスで働き、すぐに起業するとは大きな決断だっただろう。「無知だからこそできたことだと思います。あとは、父の背中を見て育ったからかな。地元でジャズバーを経営していた父が、40歳の時に突然ビジネスを始めると言って上海に行ったんです。中国語も話せないのに。それから2ヶ月後に起業していました。今でもまだ中国にいて、パワフルですよね。」その父から就職しないことを決断した時に言われたことがあった。「私は当時実家にいたのですが、『半年後に新卒でいただくお給料くらいを自分で作れなかったら、出ていきなさい』って。その約束があったからシビアになれました。なかったら、ただの夢見るニートになっていましたね。」彼女は流されずに自分らしく生きることを、当時から考え続けていた。

まわりを包み込むあたたかさと、引っ張っていく強さ

萌さんが今回選んだのは、ROSSOの肌触りの良いニット。彼女のナチュラルな雰囲気にぴったりのアイテムだ。「サッと羽織ったときに気持ちよかったんです。そしてこの何色って表しづらい絶妙な色が好き。私は企画書を作るときも、真っ黒よりもニュアンスカラーを使うことが多いんです。」悪戯な表情でそう言った。はっきりと言い当てられるものよりも、何だろうと興味を掻き立てられるものに惹かれるのではないか…。多くの人にたくさんのワクワクやドキドキを送ってきた彼女らしい選択だ。「今日は仕事のときのスタイルです。私は丸顔なので子供っぽくならないよう、デコルテを出して女性らしさを意識しています。」清潔感のある白のトップスから、鎖骨が品良く覗いている。柔らかい印象のトップスには、グリーンのタイトスカートを合わせた。それもまた、頭の回転が早くテキパキと話す彼女によく似合っている。
まわりを包み込むあたたかさの中に、多くの女性を引っ張っていく強さがある。これこそが彼女の魅力だ。

祖母から受け継いだ、季節の移ろいの楽しさ

彼女は会社に「ガルテン」と名付けたのには、もちろん理由がある。「父が小学生の頃から上海で仕事をしていたので、週末はよく母と弟と3人で祖母の家で過ごしていました。ドイツ様式の古い家で、敷地の3分の2が庭なんです。季節の移ろいの楽しさは全てそこで感じていましたね。その思い出がアイデンティティになっているので、会社を、ドイツ語で庭を意味する『ガルテン』という名前にしました。」しかし5年ほど前に祖母は亡くなり、家を取り壊すことになったそう。「この大切な家をただ取り壊すのではなく、紡いでいきたいと思いました。」そして彼女は、一夜限りの建物見学会の開催と、扉などの部材を取り外し、家の物語とともにリノベーションを通じた新たな場づくりへと受け継いでいくことを決めた。「家の中の食器も見せてもらい、家族で少しずつ分けました。私はヴィンテージの食器を受け継ぎました。ステーキを食べるときはこのお皿、朝の熱々の紅茶を飲むときはこのカップ…と、思い出とともに食器があります。祖母は食をとても大切にしていました。」この温かな家族との時間があったからこそ、今彼女はガルテンという会社で多くの人に、次の週末に取り入れたい理想の生活を提案できるのだろう。

今では、萌さんは2歳3ヶ月の娘を持つ母親だ。「妊娠出産をとおし、実は減速しちゃってたところがありました。でも今年は走る方法がちょっとだけわかってきた気がします。走れる日に走れば良いんだと思えるようになり、気が楽になりましたね。」そう言いながら彼女は力強く付け加えた。「来年はもっと走りたい!今年走った分だけ、来年いる場所が変わると思うから、今年の残り少しも走ります。」常に今のベストを尽くす。そしてちょっとだけ先を見ながら、どう走っていくか、その答えを探し続ける彼女には共感が絶えない。愛に溢れたあたたかくもたくましい彼女から、私たちはいつも人生の楽しみ方におけるヒントをもらっている。


PICK UP ITEM

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