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FASHION JAN 05,2023

新たな化学反応の予感。
WHITE NAVY COLLECTION by SEE SEE、始動!

静岡に、あらゆるバイヤーやデザイナー、クリエイターからその独特な感性とクリエイティブを絶賛される人物がいる。SEE SEEやS.F.Cのディレクターを務める湯本弘通さんだ。おそらく、穏やかで温かな空気感と独自のコミュニティの面白さに自ずと引き寄せられるのだろう。アーバンリサーチ バイヤーズセレクト バイヤーの村手もそのひとりで、スポット的にTシャツやキャップを協働で製作してきた。そして今季、満を持して新プロジェクトをスタートする。そこへ至るまでの経緯、中身、込めた想い、そして未来とは。ふたりが紡いだ言葉に見えてきたのは、繋がり、絆、遊びゴコロといった、昨今忘れがちだった大切なキーワードである。


新プロジェクトの素地となったふたりの関係性

SEE SEEというブランドの背景には、静岡に昔から伝わる伝統工芸があり、トラディショナルへのリスペクトがある。そして、デザイナーの湯本さんのフィルターを通して発信され人々を魅了する。ただ、取り引きしているところは意外にも少ない。それは、彼独自のこだわりによるところが大きいかもしれない。

「SEE SEEに関して、認知の拡大などは特に考えていません。というのも、1番大事にするのはコミュニティ。パブリックに出て行くのではなく、逆に狭めていったところでちゃんとした人間関係、信頼関係を作り展開したいのです。だから、シーンの反応がいいからといってそこまで多く作ることもしません。そこのところをよく分かってくれている村手さんだからこそ、アーバンリサーチさんとこれまで一緒になって企画をやらせてもらいました」

「そう言っていただけて嬉しいですよね。バイヤー冥利に尽きます」と村手。

「そこは自分自身、ずっと大事にしているところでもありました。湯本さんとこうやってずっと仕事をさせてもらうのはすごく光栄なことだし、逆に僕自身も都心にはない刺激をいただけるので非常にありがたいですよね。仕事ももちろんそうなんですけど、人生的にも楽しい方がいいですから。結局、その延長に仕事があるみたいなところはありますね」

スウェットのセットアップしかり、SEE SEEのTシャツの復刻コレクションしかり。そんな良好な関係があるからこそこれまでにない楽しい企画が生まれ、多くの反響を呼んできた。ただ、その彼らのプロセスが実に独特。

「湯本さんの中では、その時々に感じる感性を大事にされています。企画ベースで面白かったらやるし、面白くなかったらやらない。そういうスタンス。なので、まずは僕の方で思いついたアイデアを湯本さんにぶつけてみる。ちょうど11月にリリースされた、SEE SEEと読売ジャイアンツとニューエラのコラボキャップもそう。アイテムありきというよりは、最初にストーリーを決めてから商品にする。ストーリーのないものに関して湯本さんは興味がないですから」

それを受け、湯本さんも言葉をつなげる。

「とはいえ、村手さんとは同世代ということもあり根っこの部分ではお互いに理解し合えているような感じを受けます。提案いただくものはやっぱり魅力的に感じますし、何より企画から生産、販売数までしっかりハンドリングしてくれる。村手さんには感謝していますし、とても信頼していますね」

「こちらこそですよ」と話しつつ、村手はバイヤーとしての想いを口にする。

「会社としては売り上げを考えなければいけませんけど、結局、背景やアイテムの色がないとそこには繋がらないんですよ。だから、他ではできないものを提案できるところが、僕らとやるうえではメリットと湯本さんとも話しています。他に負けない部分、ウチらしいところはどこなのか。そこはバイヤーになったときから常に考えていますね」

互いのイメージが合致したバブアーのコート

そして、今回の企画においても湯本さんは村手からの提案が魅力的に映ったという。

「特に何か言ったつもりはありませんが、一般的な個店さんでは繋がりのもてないところで、かつ僕が強い関心を持っているブランドを出してくれた。僕としては聞いたそばから面白そうだなという感覚がありました」

そこはやはり、湯本さんとの良好な関係を築いてきたがゆえにスムーズな意思疎通が叶ったともいえる。村手は語る。

「湯本さんはベーシックな物がお好き。それは言葉の節々や日頃から身に付けてらっしゃるものから分かっていたので、だったらそれらとSEE SEEとの邂逅により面白いものができるのではないかと。以前から、メジャーなものとコアなものを掛け合わせると、今までにないものができる面白さを個人的には感じていました。湯本さんの感性により他にはないものができるし、お客さんも楽しいと思うんですよ。もう世界的なパンデミックにより世の中はガラリと変わりましたよね。遅かれ早かれ予定調和的にやっているとお客さんは飽きてしまう。そうじゃないところでいかに面白いことを起こして、楽しんでもらえるかを考えなければいけない時代になったと思います」

そしてWHITE NAVY by SEE SEEのプロジェクトは走り始める。最初のアイテムとして白羽の矢を立てたのが、アーバンリサーチでもこれまで幾度となく別注をおこなってきたバブアーだ。ただ、そこにも伏線がある。村手は苦笑する。

SEE SEE別注 3/4コート ¥63,800 (税込)

「今季、実はバブアーの別注で何かを作ろうとは考えていました。その延長に、バブアーで作った過去はあるものの、現在はインラインで展開していない3/4コートのベースがあったんです。ただ、あがってきたサンプルを見てもどうもしっくりこない。そこで、湯本さんに見てもらったところ結構気に入ってくれて。いろいろ修正しながらモデファイして出来上がってきたのがこちらになるんです」

願ったり叶ったりと話すのは湯本さんだ。

「そもそも僕は普段、上下スウェットしかほぼ着ません。そして、外へ出かけるときは自分が作ったコートを合わせることが多かった。とはいえ、老舗のブランドも着たいと思うところもあって。しかも、ロゴまで入れられるとあってはなおさら前のめりになっちゃいますよね(笑)」

「好きだろうなって思ってました(笑)」と村手。

「細部を詰めていく際、ロゴを入れるとしたら絶対オレンジの糸がいいと思っていました。ただ、オレンジの刺繍にします? と聞いたら、黒にしたいオーラがバンバン出ていました(笑)」

その真意を尋ねると、湯本さんは本音を吐露する。

「確かに、自分のブランドのアイコンカラーのオレンジの方が人気があるんです。でも、主張するよりどこか匿名性を持たせたかった。アイテムの面白さや良さを純粋に見てほしいなと。だからロゴが主張しすぎない同色系のブラックの糸を使いたいとオーダーしました。ベーシックにこうロゴを見せないで着たい人もいるじゃないですか。まあ、単純に僕がそうなんですけど(笑)」

生地は、バブアーらしい定番のピーチドコットン。ただ、身幅を3XLぐらいにし、その分、袖の長さも微妙に調整している。

「これ、すごい楽しみだったんですよ」と湯本さん。

「先ほども述べたように、ロングコートが好きで自分のブランドでも作っています。なにせ、SEE SEEのテーマが、スウェットでワンマイル、コートを羽織ればスリーマイル以上、と謳っていますから。静岡だと特に暖かいので、ダウン系はそこまで必要がない。コートがあれば十分なんです。しかも、この大きさ。僕が今着ているこのニットは結構厚みがあるのですが余裕で着られます」

湯本さんの表情に満足感を示しつつ、村手は製作におけるこだわりを披露する。

「湯本さんがサンフランシスコへ行った際、スウェット上下で犬の散歩をしているおじさんがいたそうなんです。その上にロングのコートを着ちゃえばレストランに行ける、そんなストーリーを話されていたので、それをイメージしました。後ろを見てもらうと背後にゆとりができる。通常は避けるような作りですが、そのラフさが重要でした。だから、パターンに関して緻密に計算して作ってないんですよ。ちょっと鈍くさい感じをあえて残しています」

各アイテムに覗く、これみよがしではない“らしさ”

そして今回、バブアー以外のアイテムもラインナップ。そのひとつがクラークスだ。チョイスしたモデルはブランドの大定番で、メンズは3型、ウィメンズは2型で展開する。チョイス理由について村手は語る。

<MEN>
SEE SEE別注 Desert Boot (Black Suede) ¥28,600 (税込)
SEE SEE別注 wallabee Boot (Black Suede) ¥29,700 (税込)
SEE SEE別注 wallabee (Black Suede) ¥28,600 (税込)

<WOMEN>
SEE SEE別注 wallabee (Black Suede / Maple Suede) ¥28,600 (税込)
SEE SEE別注 wallabee Boot (Black Suede / Maple Suede) ¥29,700 (税込)

「湯本さんはワラビーのゴアテックスをよく履いているし、僕もデザートブーツは好きでずっと履いていました。となれば、まあこのチョイスは必然ですよね。で、後は加工をどういう風にやろうかと試行錯誤してようやく完成しました。湯本さんのさりげない感じを意識して、湯本さんが毎日履いても問題ないように仕上げています」

「ムキになってない感じがいいんですよね〜」と湯本さん。

「僕にとってもこの辺りは定番。サンフランシスコのアーティストでバリー・マッギーという方がいるのですが、彼はこれ一択でずっと履いているんです。僕は彼がめちゃめちゃ好きで、彼の変わらないオールディーズなスタイルを気に入っています。だからこれが1番僕は思い入れがありますね」

それを受け、村手もデザートブーツに関して想いを口にする。

「学生時代に、今はなき京都の古着屋でデザートブーツを買ったのを思い出しますね。それを履いてよく友人たちと遊んでたな〜。一般的にはみなさんワラビーを履いているイメージ。ただ、僕はデザートブーツが好きなんですよ。デザートブーツの方がこう革靴感がありませんか?」

「たしかにクラス感が出ますね」と共感しつつ、「これを履くなら・・・」と湯本さんは自分流の着こなしを教えてくれた。

「合わせるなら逆転の発想で、シュッとさせるより古着と合わせながら足元だけピカピカ、みたいな着こなしを考えます。ワラビーの方はスウェットパンツを合わせたいですかね〜。着こなしの幅を広げてくれそう。そんなワクワクをもたらしてくれるアイテムですよね。全てロゴの位置が違うのも面白い」

さらには、ラインナップのひとつに数えられているソックスにまで話が及ぶ。村手は話す。

「ソックスもすごくいいですよね。SEE SEEのソックスはいくつか所有していますけど、基本的にストリートな空気感で明るめなカラーが多い。そこで、いつものソックスとはまた違ったアプローチで作りませんか、と提案させてもらいました。最近、個人的にネイビー×ホワイトの合わせをわりとよくしていましたし、ネイビー系のコレクションはどこかトラッドっぽい。そこで、ネイビーはどうですか、と」

普段は白ソックスしか履かない湯本さんも同調。その出来に満足感を滲ませる。

ORIGINAL LOGO SOCKS ¥2,750 (税込)

「大人っぽさの出るソックスはいいなと思いました。しかも、明るいネイビーではなくダークネイビーというところがまたいい。パッと見は黒なんですけど、よく見るとネイビー。そのさじ加減が絶妙だなと。うちのブランドでソックスは欠かせませんが、明るめの色を主に展開していたので新鮮でしたね。ロゴが真横ではなくアキレス腱の方に入っているのも何気に気に入っているんですよ」

製作にあたりイメージしたのは村手!?

SEE SEEとの共作ということで、存分に湯本さんカラーが落とし込まれているのかと思いきや、実は今回のコレクションで意識したのは村手だとか。

「本来であれば、自分の作りたいものを作るのが僕のスタンス。ただ、今回に関しては村手さんを思い浮かべながら考えた部分はありますね。村手さんが袖を通したときにどう見えるかを意識しました。やっぱりこだわりの人ですから(笑)」

「そんなこだわってないですよ(笑)」と話しつつ、村手は続ける。

「例えば、トラッドなイタリア系のスラックスへ普通のバブアーを合わせてもいいんですけど、こちらのバブアーを合わせることによって一般的なスラックスコーディネートとは一線を画すと思います。スラックスにシュプリームを合わせる感じが好きなので、それに近しい着こなしができるのかなと。今までにない、かつ今の時代にあった綺麗めな合わせといったイメージ。だから次は、そこへ取り入れられそうなメンズトラッドなアイテムを考えています。サイズ感も違いますから、これまでのトラッドとは全く違った見え方になると思いますね。今までのトラッドだともうみんな分かっているし飽きている。若い子も入りづらいと思うんですよ」

それを受け、次なる動きに対するイメージを湯本さんは展望する。

「僕がいいなと思った流れは、今回はコート、靴、靴下なので、あとはパンツとジャケット。今回のオーバーコートと組み合わせられるアイテムを作り、最終的にはトータルコーディネートが完成するイメージです。これは絶対カッコいいだろってスタイリングが朧げながら見えてくるような。だから、今これらを買っておかないと完成しないんです」

それについては村手も共通のイメージを持つ。

「世代が近いですし、好きなスタイルも似ているのは1番大きなところだと思います。お互いキメキメなスタイルは本意ではない。ロロピアーナのセットアップは着ているけど、靴はボロボロのバンズの方が格好いいとか。その程よい抜け感は、我々の中では理解し合えていると思いますし、そこはきっと皆さんにも面白いと感じてもらえると思います。なので、次のアイテムもぜひ期待してもらいたいですね」

「湯本さんとのコレクションですから、それは売れますよ(笑)」と村手が投げ掛ければ、「すぐプレッシャーをかけてくるから(笑)」と苦笑いで返す湯本さん。その二人の軽妙なやりとりからも良好な関係であることが伝わってくる。現在、次シーズンに向けたコレクションも思案中。おそらくまた楽しいアイテムがリリースされるはず。今後の展開にますます注目である。

Edit & Text/Ryo Kikuchi

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