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LIFE STYLE&BEAUTY JAN 02,2021

湯ったり「余白のあるくらし」 URBAN SENTO<後編>

東京・高円寺にある老舗銭湯「小杉湯」とタッグを組んだ「JAPAN MADE PROJECT」の東京編“URBAN SENTO”。担当者の銭湯愛と、銭湯を未来に伝える小杉湯さんたちの熱い想いをお届けする座談会、後編です!


「余白のあるくらし」をテーマにしたJAPAN MADE PROJECT TOKYOの“URBAN SENTO”。

前編に引き続き、後編をお届けします。
今回は小杉湯の隣にある「小杉湯となり」前にてお話を伺いました。
ここはURBAN SENTOにも関わってくださった「株式会社銭湯ぐらし」が経営しています。

建物は3階建。
1階は台所・食堂で、キッチン設備が供えてあり、持ち込みも可能。目の前には中庭があり、気持ちの良い日差しが差し込む空間です。

2階は書斎。畳の小上がりがあり、電源やプリンター本棚も完備。

3階は予約制の個室。六畳一間ベランダ付きの部屋。

この「小杉湯となり」を使いたい放題になる会員プランはなんと月2万円。
建物を使用するだけでなく、お風呂の入浴セット(バスタオルなど)が無料なので、“銭湯つきセカンドハウス”として自宅+αのライフスタイルを楽しめたり、“銭湯つきシェアオフィス”としてリラックスして働いたり。銭湯に入った後にお昼寝をしてもいいし、日向ぼっこをしてもいい。そんな素敵な空間になっています。

座談会メンバー(右から)

平松佑介さん: 住宅メーカーやベンチャー企業に勤め、その後家業である小杉湯3代目に。銭湯の経営のほか、オンラインサロン「銭湯再興プロジェクト」をはじめ様々なプロジェクトに関わる。

塩谷歩波さん: 体調不良で休職時に小杉湯に出会う。SNSで発表していた、銭湯の魅力を図解した「銭湯図解」をまとめた同著を刊行。現在は小杉湯のイラストレーター兼番頭。

菅原理之(ガースー)さん: 外資系広告代理店から転職。小杉湯ではチーフ・ストーリーテラーを務め、銭湯の魅力を様々な言葉にして伝え、また経営状況をITによって可視化するなど、ブランドとビジネスの方面から銭湯を支える。

アーバンリサーチ デジタル営業部カンパニープロモーション兼サステイナビリティ推進課 川瀬晃子: JAPAN MADE PROJECTチームの一員として東北の若手漁師さんたちとフィッシャーマンウェアを開発するなど日本文化に深く関わる。大の銭湯好き。

今回もリモートで大阪本社よりアーバンリサーチ ブランド販促(JAPAN MADE PROJECTも担当) 宮 啓明が参加しています。

※撮影時のみマスクを外しております。会話中はスタッフ全員がマスクを着用し、一定の距離を空けるなどコロナウイルス感染拡大防止対策を施したうえで取材を行っております。

2020年3月にURBAN SENTOアイテム第一弾発売! 

URM 前回も伺った、「70回以上」のミーティングの中から生まれたURBAN SENTOグッズ。「余白のあるくらし」をテーマに、第1弾ではウエア類だけでなく、防水のバッグやメッシュポーチ、タオルなど幅広いアイテムが登場しましたんですね。

川瀬 “どういうものが欲しいか”というグループミーティングはすごく盛り上がりましたよね。

塩谷 具体的なアイデアが出た後も、“なぜそのアイデアが出て来たのか”をアーバンリサーチチームとともにメンバーと掘り下げたりして。
みんなが感じていたのは銭湯の立ち位置。「家と職場」「家と街」の間に銭湯というものを置いているよね、という話が出て来たんです。だったら銭湯だけで使えるグッズじゃないよね、って。

川瀬 グッズに関しては塩谷さんのご意見がすごく参考になりました。

塩谷 着心地の良いもので、湯上りにさっと着られて、ほっかぶりみたいな感じのものが欲しいなと。湯上りにかっちりしたものを着るのって嫌じゃないですか。

川瀬 なのでサイズ感もゆったりめで、日本アトピー協会推薦品である、肌触りのよいスマイルコットンという生地を使用したんです。ウエアに関しては株式会社スマイルコットン社が手がけるブランド「HAAG」と協業させていただきました。
それと、キックオフミーティングではポーチが欲しいという声が多かったんです。これも塩谷さんに色々相談しましたよね。

塩谷 銭湯グッズ(洗顔料やシャンプー)を入れられる大きいサイズで、しかも自立できるポーチって少なかったんです。小さい方のポーチは化粧水入れに使っています。

平松 僕もこのポーチ使っています。シャンプーセットを入れるのにちょうどいい! 今まで自分の家が銭湯だったから他の銭湯にいくことがなかったんですけど、今回バッグなどいろんな道具が揃って、これをきっかけに他の銭湯に通うようになりました。

 残念ながらリリース時期に新型コロナ問題が起きたので、大々的にお客様にお知らせできなかったのですが、それでもワンピースやTシャツは人気でした。ポーチも継続で人気の商品ですね。

URM 確かに銭湯から家の往復だけでなく、銭湯に入ってから遊びに出かけるという人も多いので、ワンマイルに着られるウエアだけでなく可愛くて使い勝手の良いポーチやタオルがあると嬉しいです!

平松 タオルは小杉湯のレンタル用オーガニックタオルを作っている「IKEUCHI ORGANIC」にお願いしました。品質も肌触りもいいんです。ソープ類も、も実際にうちでタオルを洗うのに使っている「木村石鹸」のもの。ここは昔ながらの、大正時代から石鹸を作っているところなんですよ。

URM ちなみに、商品化にはならなかったけど面白かったアイデアなどありますか?

川瀬 リバーシブルの下着はボツになりました(笑)。入浴前に穿いていたパンツを帰りは裏返して穿ける、というアイデアだったんですが。

塩谷 さすがにパンツを裏表で穿くのは…ってなりましたよね。

 男性陣からは吸水速乾のセームタオルが欲しいという声は多かったですね。今回は実現しなかったですが、僕も欲しいなと思いました!

2020年11月26日“いい風呂の日”に、第2弾のウエア発売

URM そしてついに第2弾も発売! ベストプルオーバーの2種類がリリースされましたね。キービジュアルは第1弾同様小杉湯さんと所縁のあるマリンバ奏者野木青依さんと、以前メディアサイトでも“サウナー”だとおっしゃっていた元シャムキャッツの夏目知幸さん。今日は皆様にも新作ウエアを着ていただきましたが、着心地などいかがですか?

塩谷 長袖を着てみたのですがとろっとしていて肌触りが優しいんです。保温性も抜群。

川瀬 こちらも日本アトピー協会が推奨するスマイルコットンを使用したのでタオルに包まれているような気持ちのいい着用感なんです。吸水性があり乾きやすくもあるので、銭湯で“ととのった”後にぴったり。実際に着てくださった方には、着心地はもちろん、デザイン的にもレイヤードがしやすいと好評の声をいただいています。

菅原 やっと着られるサイズ感のものが出ました(笑)。お風呂上がりはやっぱり男性もピタッとしたものよりこういうゆったりとして保温性があるのが嬉しいです。

URM  第3弾も予定あり、とのことですが、現段階で皆さんの「こんなものが欲しい」を教えてください。

塩谷 お風呂でかぶる帽子が欲しい! タオルをターバンのように巻けない人もいるし、でもサウナでは保湿しないとパサパサになるし。帽子タイプがあれば便利。

平松 帽子は僕も欲しい。

菅原 僕は靴下が欲しいです。お風呂上がりは足だけ寒くなるから。足を温めるツボをしっかりホールドしてくれるようなのが欲しいです。それと保温できるサンダル。

塩谷 もこもこしたサンダル欲しい! あとはお腹が冷えないような腹巻パンツや1枚で暖かいズボンもあるといいな。

銭湯と、余白のあるくらし

URM URBAN SENTOのテーマは「余白のあるくらし」ですが、皆さんの考える「銭湯と余白のあるくらし」はどういうものですか?

川瀬 私、自宅でお風呂に浸かっている時に1日の反省をすることがあるんです。だから上がった時にネガティブになることがあるんですが、銭湯に来るとそれが快方に向かうことが多くて。高い天井を眺めたり、お客さんの会話を何となく聞いているうちにポジティブになっていく、それが自分にとっては余裕を回せていく時間なんです。私にとっては銭湯の時間こそが余白ですね。

菅原 毎日やることのルーティンって決まっているじゃないですか。でもそこから外れられる瞬間、それが余白だと思っています。銭湯はそのうちの一つ。想定外の起きる空間なんです。家のお風呂だと想定外なことは一切起きないけれど、銭湯は人とシェアをする場所だからいろんなことが起きる。その想像を超えた行動がとれることこそ余白だな、と思っています。

塩谷 私は過集中してしまうことがあるので、そうなると予定なども忘れることがあるんです。体調の限界わからないままにやりすぎることも。そういう時にお風呂に浸かると“やりすぎだぞ、自分”ってなるんです。お風呂の時間はゼロに慣れる時間だと思っています。

平松 みんなで話をして、みんなの言葉から余白のあるくらしという言葉が生まれました。今回のPVの映像はその余白のあるくらしを表現していて、それが単なる言葉じゃなくて自然と人が集まって出会いが生まれている。
今は人に会うの大変な時代です。オフラインで会うのは本当に大変。でも銭湯に来るとちゃんと約束してなくても出会いがある。そういう感じがいいなお思います。

これからの銭湯

URM 今回の取材の直前に、小杉湯さんで“URBAN SENTO”のイベントがあったんですよね。

イベント時には特別な暖簾を設置。
お風呂で読書時間!? URBAN SENTOの様々な情報を壁に貼り、入浴しながら読んでいただきました。
物販スペースも。第2弾の新作も人気でした!
第2弾のキービジュアルポスターも。
女湯の脱衣所には第1弾のサンプル、番頭横の休憩スペースには第2弾の新作サンプルをご用意。
アーバンリサーチ社が経営する蓼科のキャンプ場「TINY GARDEN 蓼科」が地元の方と一からビール作りに挑戦して商品化された地ビール「GARDEN ALE」も販売。お風呂上がりのビールは最高です。
男湯・女湯の脱衣所から見られる壁に、2020年3月11日公開のスペシャルPVを上映。

川瀬 はい! 小杉湯さんの浴室の壁に、入浴しながら読めるように、SENTOグッズの紹介やスナップ写真を貼らせていただいたり、脱衣所からはMVが見られるようにプロジェクターで投影したり。さらに脱衣所で商品の試着ができるようにしました。

平松 試着は特に好評でしたよ。

川瀬 イベント時は私も物販コーナーに立たせていただいたんですがお客様に好評で嬉しかったです。このイベントはまたぜひやりたいです!

URM 今日はどうもありがとうございました。後編最後の質問です。「これからの銭湯」への思いを教えてください。

平松 東京って銭湯が500件くらいあるんです。どんどん数が少なくなっているイメージがあるけど、東京都のマクドナルドとモスバーガーを足したくらいの件数です。だから銭湯のあるくらしはまだまだ東京カルチャーとしての可能性があると感じています。
いろんな人が集まって、想いが形になる。銭湯と食や暮らしが繋がりはじめて、その点を繋いでいくと面となる。そういう風になっていくこといいなと思います。小杉湯の視点だと、昭和8年に建てられたこの建物を建て替えせずにこのまま維持していきたい。銭湯として変わらずにいることが大切かなと。

菅原 銭湯はずっと残っていって欲しいから、現在も銭湯の中でも価値を抽出して具現化することを試しています。そしてこういう取り組みが他にも広がっていくといいなと思っています。といっても銭湯自体は特に変わる必要はなく、自分たちが価値を再発見して伝えていきたいですね。

塩谷 私も同じ気持ちです。今は若い人もやりがいを感じて銭湯に参入して着ています。元気になれる場所として持続していきたい。だからこれからも小杉湯でいろんなことをやっていきたいです。

川瀬 銭湯好きとしては減っていってしまうのはとても悲しい。銭湯も担い手の問題などありますが、何かできることがないか、力になれることがあればこれからどんどんやっていきたいです!

 これまで以上に多様な価値観が生まれ、ニューノーマルといわれるこれからの時代こそ、ライフスタイルのなかに「余白」は必要だと考えています。それをもっとも取り入れやすく、体験して欲しい場所が「銭湯」です。
サウナーという言葉は定着しましたが、そういった言葉が生まれるときはカルチャーが時代にマッチして、あたり前のものになったときだと思います。例えば「銭ター」みたいに、銭湯好きの人を形容する馴染みやすい言葉が多くの人に定着するよう、銭湯カルチャーを多くの人に共感してもらえる面白いことをURBAN SENTOに関わる皆さんと、これからも取り組んでいきたいです。

INFORMATION

小杉湯
東京・高円寺にある昭和8年創業の老舗銭湯。
音楽、ファッション、サブカルチャーを中心とした多様な中央線カルチャーと、古き良き歴史が混在する高円寺の憩いの場として、多くの方から愛されている銭湯です。
http://kosugiyu.co.jp/

小杉湯となり
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3丁目32−16−2
https://kosugiyu-tonari.com/

銭湯ぐらし
「余白のあるくらし」の価値を創造するクリエイティブチーム。建築家、デザイナー、コンサルタント、プロデューサーなど多様な職業のメンバーが集まる。銭湯の隣にある風呂なしアパートでの共同生活を経て、銭湯のあるくらしを体験できる施設「小杉湯となり」を企画・運営。
http://sentogurashi.com/

JAPAN MADE PROJECT
アーバンリサーチが「地域活性化」をメインタスクとして、日本各地の企業やクリエイターによって作られるローカルコミュニティとともに、その土地の魅力を再考し発信していくプロジェクト。
2014年9月に長崎にてスタートして以来、石川、熊本、東北、京都、東京で取り組みを行っています。
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