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FASHION MAY 30,2022

令和エモグラシー
第三回 森田 想 〜五月の蝿にエメラルド〜

アーバンリサーチ25周年特別企画として始まった『令和エモグラシー』。ReSEARCH(再:探求)というテーマに基づき、毎回一人の女優にフィーチャーしオムニバス形式のショートムービーとインタビュー記事を公開。第三回目は唯一無二の存在感で映画、ドラマにとどまらずファッション誌やビューティのページなどにも活躍の場を広げる森田想さん。自身を「雨女」と公言する彼女が撮影現場に立った途端、心配していた僕らを嘲笑うかのようにピタッと雨が止まった。その一瞬の奇跡こそが『エモい』瞬間であり、この企画が彼女の為にあるということをまざまざと見せつけられた瞬間でもあった。


> フルバージョンは25周年特設サイトにて公開中

『五月の蝿にエメラルド』

Interview with Kokoro Morita

— 『令和エモグラシー』にご参加いただきありがとうございます! この企画は「エモい」を軸に作った企画なのですが、普段森田さんは「エモい」という言葉を使ったりしますか?

森田: あんまり使わないです。使ったことはもちろんありますが、心の底からエモいと思って使ったことはないかもしれません。

— 僕らの世代では「エモい」という言葉の定義が少し曖昧なんです。森田さんにとって「エモい」とはなんでしょうか?

森田: うーん、クリープハイプですかね。クリープハイプ自体も「エモい」ですが、『エロ』という曲が私の中で「エモい」象徴です。自分が学生のときに聴いていたので、そのときの感情込みで「エモい」と思っています。

— 「エモい」で連想されやすいフィルムカメラとか、昭和レトロみたいなものに関してはどうですか?

森田: わかるけどそこに関してはあまり使わないですかね。

— アーバンリサーチはベーシックな服を主に展開しているのですが、森田さんはベーシックな服は買ったり持っていたりしますか?

森田: 白シャツ、白T、ジーンズとかはよく着ます。でも「あ、今日はベーシックなものを買おう!」と出かけることはないかもしれません。たまたま自分のサイズにあったものを見つけたときに買うのがベーシックなもの、そうではない、例えば一目惚れして買うものとかはベーシックなものではないという感じですね。

— 普段コーディネートを組むときにベーシックなものは絶対入りますか?

森田: はい。白Tは絶対着ます。

— 他に自分の中でのルールはありますか?

森田: ルールかどうかはわからないですが、ハイウエストなものを選びます。自分の骨格的にハイウエストのものを着た方がスタイルがよく見えるんです。だからサイズ感が合うデニムに出会った時はすぐに買ってしまいます。

— 今日のコーディネートはいかがでしたか?トリッキーにパンツのレイヤードをしてみたんですが。

森田: コーディネートを見たときは難易度が高いかなと思っていたんですが、着たら意外としっくりきました。中に穿いたような薄くてテロっとした生地ならレイヤードしてもごわつかないし、ブラックデニムと合わせるのも可愛いなと思いました。

— 子供のときからファッションで影響を受けた人はいますか?

森田: 母ですかね。私が小さい頃からよく洋服を買って帰ってくる人だったんです。ファストファッションでしたけど、週一くらいで紙袋をベッドにぼん! みたいな。だから中3くらいまで自分で服を買ったことがなくて。私のファッション観の基盤は母親が好きなスタイルですね。

— すごいですね。それはお母さん的にはどういう意図で買ってきていたのでしょう。

森田: シンプルに母もファッションが好きだったんだと思います。このブランドを着なさいというよりは、安いものでも組み合わせによってこんなにファッションって楽しいんだよ、みたいなものをいつも教えてくれていました。

— 素晴らしいですね。洋服をお母さんと兼用することもあったんですか?

森田: 今も全然あります(笑) 大人になるにつれ私の好みも変わってきて、兼用できるものも限られてきましたけど、それこそベーシックなアイテムは今でも兼用します。

— ちなみにお父さんとかお兄さんとの兼用はないですよね?

森田: 兄がわたしの服を着ているときはあります(笑) 私の部屋のクローゼットに全部洋服が入らなくて、兄の部屋のクローゼットを使わせてもらっているので、あまり文句は言えないんですけど(笑) メンズライクなものも好きなのでサイズ的にも着られちゃうんですよね。とりあえず汚さなければいいというのが暗黙の了解で(笑)。

— さすがにお父さんはないですか?

森田: いや、着てます(笑) というか父の服を私が着ることもあるので、お互い様ですね。父の昔の服とかサイズ感が今の気分にちょうどいいときがあるんですよね。

— 自分で洋服を買うようになってから影響を受けた人、ものなどはありますか?

森田: 人というよりかはずっと小説を読んでいたので、それの影響はあるかもしれません。嶽本野ばらさんの小説によくヴィヴィアンウエストウッドが出てくるんです。それを見てすごくヴィヴィアンが欲しくなったり。でも高いし、たとえ一つ買ったところで自分のワードローブと調和できないからと諦めたり。そういうことはありましたね。

— なるほど。僕から見て森田さんはいろいろな格好をするイメージがあるのですが、洋服は捨てられないタイプですか?

森田: 全然捨てられないタイプです。小6のときに買ったコートをまだ着ていますし(笑)。

— 東京出身の森田さんから見て東京ってどんな場所ですか?

森田: うーん難しいですね。小さい頃からの生活圏内なので。今日は原宿で撮影しましたけど、原宿は目的がないと行かない場所ですかね。キラキラしすぎていて、私には合わないというか(笑) でも表参道は目的がなくてもいけます。自分の中でそういったジャンル分けがされている感じです。

— 普段お芝居するにあたり、衣装が役作りに影響すると感じますか?

森田: 私の場合、8割が衣装で決まると言っても過言ではありません。衣装合わせで「今の大学生はこの組み合わせしないなぁ」と思っちゃうと、その雑念が邪魔でお芝居に影響したり。だからできる限りピンとくる衣装の方がありがたいですね。でもそれは私の主観なので、衣装さんが用意してくださった組み合わせを否定するようなことはしないです。

— インスタの話になりますが、普段投稿するにあたって気をつけていることはありますか?

森田: 一番気をつけているのはバランスです。特に季節感には気をつけています。春だったらピンク系の写真を多めにしたり、夏だったら緑と青、冬だったら暗めな写真といったように。あとは写真の寄り引きのバランスも気をつけています。

— インスタの反応は気になりますか?

森田: 気になりますが、一つ一つ気にしていたらコスパが悪いので、歴史を刻むという感覚でやっています。

— コメントで傷ついたりもしますか?

森田: 自分がすぐ傷つくのを知っているので、最初からきついコメントはできないように設定しています。

— 好きな色はなんですか?

森田: 緑です。自分の顔に合っていて品がでる感じがするんです。あと緑を着ているときに褒められる率が高いので。

— 好きなモチーフは?

森田: ハチ、ヘビ、蜘蛛です。流行もありますが、ずっと好きなのはハチですかね。

— 主演映画『アイスと雨音』での森田さんが印象的でした。この映画についてよく聞かれていると思いますが、やはりちょっと嫌だったりしますか?

森田: なにかにつけて言われるのは嬉しい気持ちはありますけど、私の中でわりと過去の栄光感があって。言われることに対しては「それぐらいよかったのか!」ととるか「それしかないのかな私」ととるかで変わってきますよね。でもそれだけみんなの気持ちが惹き寄せられる映画だったんだなと思います。とてもとても感謝はしていますけど、これだけじゃないぞという気持ちになるときはあります。

— この映画はオーディションで受かったんですよね。普段いろいろとオーディションを受けているかと思いますが、手応えがあるときにはやはり受かっているものですか?

森田: 『アイスと雨音』のときはまずツイッターで応募を見たときに「あ、これは自分だな」と思って(笑) そしたら事務所から連絡が来て、オーディションを受けたら受かって。そんな過剰な自信が出たことは過去に3回だけで、でもそれは全部受かっています。逆にわりと自信があっても受からないことも全然あるし、その逆もあります。だからイマイチわからないですね(笑)。

— すごいですね。その過剰な自信が出るときは脚本でそう思うんですか?

森田: それもありますし、オーディションのときに審査している方々のリアクションというかハマり感というか。私自身も「これ以上の人がいたの?」って強気に思う瞬間があって、それが過去に3回だけですね。

— 面白いですね。逆に全然ハマっていないときはわかるんですか?

森田: もうこっちを見ていない感じがするし、カットとかも早いですね。「はい大丈夫でーす」みたいな(笑) だからわかりやすいと思います。

— 残酷な世界ですよね。本当に尊敬します。役作りってストイックにしますか?

森田: いろいろなことを聞いて考えて、した方がいいんだろうなとは思いつつしないです。

— え、しないんですか?意外です。

森田: というかできないんです。手元に届いた台本とかも1日前とかじゃないと見れないというか。今の自分は常に心の余裕があるわけじゃなくて、いっぱいいっぱいでやっている感じなので。だからもっと忙しくなって精神的な余裕ができて自分のビジョンがはっきりしてきたら役作りをやっていくんだろうなって思います。

— じゃあわりとフラットな状態で現場に入るんですか?

森田: そうですね。というより「本番よーい」の寸前までふざけちゃうんですよ。じゃないと入り込めないんです。だから集中したい派の人には怒られます(笑) シリアスなお芝居のときも、泣きのお芝居のときも直前までふざけちゃいます。

— それは意外でした。森田さんは子役からやっていらっしゃいますよね。子役のお芝居からの脱却は苦労しましたか?

森田: ないですね。昔から子役のお芝居をやっていないと思います。仕事への取り組み方とかで悩んだことはありましたが、演技の仕方みたいなことで悩んだことはないですね。

— じゃあ子役のときからお芝居の方法論は変わっていないですか?

森田: うーん、方法論がないからわからないです。

— それも意外です(笑) すごく方法論がある方かと思っていました。

森田: 小細工みたいなものは年々変えたりしますが、演技方法を決めたことはないですね。

— 森田さんの時代の子役と今の子役、違いはありますか?

森田: ごめんなさいわからないです。あまり見なくて。見なきゃいけないとはわかっているんですが、隣の芝生がすごく青く見えてしまうタイプなので、今は邦画やドラマをあまり見ることができないんです。自分の環境と離れているハリウッドとか海外の作品は全然見られるんですけど。それは自分の直したいところの一つですね。

— それは同世代の役者がいいお芝居をしているのを見るのが怖いということですか?

森田: というよりは、自分との差を目の当たりにするのが怖いという方が正解かもしれません。全て比較対象が自分なので、見ると疲れてしまうんです。

— なるほど。それではガラッと質問を変えて、好きな音楽は?

森田: ガール・イン・レッドとコナン・グレイですね。コナンくんは天才です。毎日聴いてますね。

— 音楽はいつ聴くことが多いですか?

森田: 移動中ですね。歩いているときは必ず聴きます。

— オーディションの前とかは?

森田: オーディションのときは、例えば狂気的な役のオーディションだったらジョーカーの曲を聴いたりしてます。青春映画だったらポップな曲を聴いたり(笑) それだけ音楽ってマインドを切り替える力がありますよね。

— 休みの日は何をしているんですか?

森田: うーん、なにもしないです。友達と遊ぶとなったら外に出ますが、基本的には出不精ですね。でも海外に行くのは好きなので、休みの日は航空券探しをしています(笑) もうそれは趣味に近いですね。早く落ち着いていろいろなところに行けるようになりたいです本当に。

— 海外にいるときは素直に自分が出せたりするんですか?

森田: そうなんです。日本の芸能界のこととか忘れられて、ただの一人の日本人、森田想としていられるので、気持ちがラクになるんですよね。

— 今年アーバンリサーチが25周年で「再探究」を掲げているのですが、森田さんが再探究したいことはありますか?

森田: ポジティブになることを再探究したいです。こう見えて昔は幸せオーラ満開みたいなポジティブな子だったんですよ。だからその頃の性格を再探究したいですね。あとは英語の勉強ももっとしたいですし、いろいろな国にも行ってみたい。お仕事に関しても自分らしさを忘れずに頑張っていけたらと思います。

Shirts: URBAN RESEARCH ¥11,000 (税込)
Tops: URBAN RESEARCH ¥7,150 (税込)
Pants: SHIOTA×URBAN RESEARCH ¥24,200 (税込)
Pants: URBAN RESEARCH ¥13,200 (税込)
Shoes: quartierglam ¥18,700 (税込)
Umbrella: URBAN RESEARCH ¥4,950 (税込)
Necklace: decor URBAN RESEARCH ¥22,000 (税込)

Profile

森田 想
2000年生まれ、東京都出身。
幼少の頃から映画、TVドラマ、CMなどで活躍。
映画『アイスと雨音』にて初主演、その演技力を評価される。
その他、映画『ソロモンの偽証』、『朝が来る』、NHK連続テレビ小説『エール』など話題作に出演。
映画『わたし達はおとな』が6月10日(金)に公開。

ヘアメイク/東川 綾子
企画・構成・衣装・写真・文/杉浦 優

令和エモグラシー ARCHIVES

第一回 片山 友希 〜此処東京故郷〜
第二回 中田 青渚 〜再探究ゆうとぴあ〜

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