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FASHION FEB 07,2020

【DESIGNER×BUYERS INTERVIEW】
SEEALLデザイナー瀬川誠人さん Vol. 2 瀬川さんの半分は、音楽でできている

インタビュー第2話は、瀬川さんとファッションをつなぐ、その間のお話。


インタビュー Vol.1はこちら
【DESIGNER×BUYERS INTERVIEW】SEEALLデザイナー瀬川誠人さん Vol. 1 様々なものを紡ぐSEEALLの世界。

URM さて、次は瀬川さんがファッションに興味を持ったきっかけやプライベートについてお話を伺いたいです!

松酒 「瀬川さんは音楽やカルチャーにとても詳しくて、そんな時間どこにあるんだろうって思うくらい掘り下げていますよね」

瀬川 「僕は全てが音楽からスタートしているんです。

最初は小学生の頃。まずハードコア・パンクやスラッシュメタルを聞くようになりました。その頃だとS.O.D.やスレイヤーとかね。

で、その時に何が起こったかというと、“そこで彼らがどんな服を着ているか”にとても興味を持ったんです。それを見ながら自分の服をカットオフして、さらにワッペンつけたりして…。ワッペンはブラックという京都にあるハードコアのお店で買って、それを母親に縫い付けてもらったり。そして赤耳のジーンズにバッシュを履いていました。髪の毛はサイド刈り上げ(笑)。それが始まりでしたね。

正直周りの人は“なんなのだろうあの人”みたいな感じでしたよ(笑)。同世代の間で流行っていたのはアイドルグループだったし。

最初はそんな風にハードコアから始まって、そこから色々な方向へと行きました。ヨーロッパ系、クラッシュ、スカ、レゲエ、ジャズへと流れて行って…当時は古着ブームの初期。だからその都度、その音楽のスタイルに合う古着を探して回りました。

最終的にたどり着いたのはモッズ。60年代的な細身パンツやスーツなんかを買い始めたり。そこがヨーロッパの服に入っていくきっかけになりました」

佐藤 「すごい小学生時代だったんですね(笑)」

URM ファッション誌などは参考になさらなかったんですか?

瀬川 「ファッション誌は全く読みませんでした。好きなミュージシャンのCDを買って、ブックレットに載っているメンバーの写真を見て、友達と“これ何履いてるんだろう、何着ているんだろう”って似たようなのを探したり。ファッションといえばそんな掘り方ばかりをしていましたね」

佐藤 「そういうファッションの探し方になったきっかけはあるんですか? 例えば親や兄弟に影響されたとか」

瀬川 「あります。さすがに小学生なので自分では調べたり気付けたりしなかったしね。僕の場合、友達の年の離れたお兄ちゃんが同じタイプだったんです。彼がきっかけですね。

で、モッズまで行くと必ずたどり着く人がポール・ウェラー。彼も僕の中でアイコン。彼がフロントマンを務めたスタイル・カウンシルはファーストシーズンのインスピレーションに入れてました」

URM 音楽から自然と洋服に興味を持った子供時代。その頃から将来はファッションの仕事をしたいと思っていたんですか?

瀬川 「全く(笑)。ちなみに大学では法律を勉強してたんです(笑)」

佐藤 「まさかの六法全書の似合うデザイナーだったんですね(笑)」

瀬川 「でも休学してロンドンへ行っちゃった。もちろんほとんど勉強せずにクラブカルチャーにどっぷりハマっちゃって。

ただその頃ちょうどデザイナーがたくさん出てきた時代だったんです。アントワープ・シックス、ヘルムート ラングが出てきて、<デザイナー>というカテゴリーの黎明期でしたね。そこにどっぷりつかってジル・サンダーやヘルムート ラングの世界に入り込んで行きました。

僕も意識しているんですけど、ラングなんてミリタリーアーカイブを使っても、絶対にラングぽい方向に持って行っていきますよね。

今ってミリタリーといえば古着方面に寄せて昔のヴィンテージを再現する世界が多いけれど、ラングはそれを一切やらない。自分のもののように昔のアーカイブを使うんです。

それは自分も大切にしています。王道に意識はありながらも、それを少しツイストさせるものづくりを心がけています。

ロンドンには3年いました。他にもジョン・ガリアーノなどロンドンぽいロンドンデザイナーがたくさん出てきた時代でもあります。

ただ僕はクラブカルチャー・文化が好きでロンドンに行ったので、ほぼ毎日クラブに通っていました。留学という名の遊学ですね(笑)。でも向こうにいること遊んでいることが勉強。遊びに行って英語覚えたり。当時の友達の影響で、今でもラテン英語のイントネーションが抜けていないけど(笑)」

小学生時代の、好きなものについて知りたい、掘りたいという情熱を持ったまま大人になった瀬川さん。シーオールのアイテムには今もそのワクワクするような情熱が編み込まれているのがとても伝わりました。
さて、インタビューの最後は…気になる瀬川さんのプライベートについて!

ブドウ畑から鎌倉の森へ

松酒 「現在のお住まいは鎌倉なんですよね?」

瀬川 「鎌倉に越して3年目です。以前はイタリア在住が長くて、周りがブドウ畑か工場しかないような場所だったんです。家の周りが90%緑と言う世界に慣れていたんですが、帰国後恵比寿に住んだら街のコントラストに違和感があって。

これはもう郊外に住もうと思って、探したら鎌倉に良いところが見つかったんです。山の真ん中に家があるんですが、もう不必要なほど庭が広くて(笑)。

佐藤 「洞窟があるんですよね(笑)?」

瀬川 「そうそう。庭…というか山には洞窟があるんですが、鎌倉で“やぐら”と呼ばれるものなんです。最初は防空壕かと思っていたんですが、かつての鎌倉では神社やお寺の近くに横穴を掘って偉い方などを埋葬したんだそうですよ。今は移して埋葬されているので、洞窟のような状態で残っています。この辺りの山は砂岩の鎌倉石なので掘りやすいんです。もちろん埋もれたり潰れているとこもありますが。

僕の家がある山にもいくつかあって、掘ってみたら1箇所は住めるくらい広かったんです。20畳くらいあるかも。
墳墓として使われなくなってからは、ちょっと罰当たりかもしれませんが物置にする民家もあったとか。

今はやぐらのひとつを、20人くらい友人たちを集めて掘ってもらう作業をしています。ワインを飲ませるのと引き換えに(笑)。完全に掘れたらワインセラーにする予定です!」

佐藤 「ワイン取ってくる。と言いながら山に行くんですね(笑)」

瀬川 「そうそう(笑)。1回じゃ掘りきれなかったので、またやらないと…。

すでに整備した洞窟には電気を引いたけど、そこへ行くまでの道をどうしようかと。ちなみに井戸も掘ったら出てきました(笑)。まだちゃんと水が湧いているんですよ。もちろん飲用にするには検査をしないといけないけれど、ワインを冷やしたりなどはできるかもね」

URM 海外出張に、大好きな音楽、そしてご自宅の整備。お忙しいですね…。

瀬川 「やることいっぱいだけど、なかなかやる暇もないですね。特に庭整備はなかなか進まない。何せ雑草との戦いなんです(笑)。1週間家にいなかったら風景が変わりますからね…。本当に生命力がすごい。家にいる時は朝起きてやったり、週末は完全に草むしり。耕運機も草刈機もチェーンソーも買って揃えました(笑)。

でもその間は“無”になれるからいいんです。ひたすら作業して何も考えない。
自然は思い通りにならないことが多い。それを思うと、海外で思い通りにならないことが多くても、我慢や乗り越えようという気持ちが湧いてきます(笑)。

自然と同じように、様々なことに対峙して行こうかと。

セージの花(イメージ)

庭は今だとセージ系の花が咲くんですが、草むしりの時はあれだけ鬱陶しいと思っていたのが、こんな綺麗な花が咲くんだ…。という気持ちにもなります。
手がかかる反面、嘘がない。どんなことがあっても絶対に花を咲かせる。それを見るとなんだかホッとするんです」


今回の対談は約1時間程度でしたが、その間ずっと溢れて止まらないカルチャー愛、そして大変だと言いながらも自然に対する優しい目。ものづくりだけでなく、瀬川さん個人にもファンが多いことに納得です。
そして…インタビューの最後にはなんと「温泉ソムリエ」の資格を持っていることも教えていただきました。源泉掛け流しの良さなど温泉文化ついても詳しい瀬川さん。いつか当メディアサイトで「温泉」を扱う特集をするときには、是非、ご参加くださいませ!

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