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FASHION MAR 05,2021

団地GUY
第一回 笠松 将

段違いな才能を持った人物をフィーチャーする不定期連載企画『団地GUY』。記念すべき第一人目は話題沸騰中のドラマ『君と世界が終わる日に』に出演する笠松将さん。ナイフのように鋭い眼差しの中にある繊細な優しさにフォーカスを当ててみた。


Interview with Show Kasamatsu

— 『団地GUY』記念すべき第一回目です。この企画の率直な感想を伺いたいのですが。

笠松: 団地で段違いなガイを撮る団地ガイ→めちゃくちゃ良いライムだなと。今後使っていきたいです(笑)

— 笠松さんの中での団地のイメージは?

笠松: 僕は愛知県の一軒家で育って、あまりご近所付き合いみたいなものがなかったので、団地に対しては友達がいっぱいいて羨ましいなという印象がありますね。学校から帰ってそのまま自分の住んでいる団地で遊んでご飯の時間になったら自分の部屋に帰るみたいな。そのグルーヴ感には入りたくても入れなかったし、憧れみたいなものがありました。

— 今日のコーディネートはどうでしたか?

笠松: 素材感とかサイズ感がすごくタイプでした。かっちりしても見えるし、カジュアルにもいけるし、とにかく着心地がいいなって。

— 普段はどんな格好が多いですか?

笠松: ジャージ、スウェット、パーカー、たまにジーパンっていう感じです。僕らの仕事は現場に着いたらすぐに着替えるのでどうしてもこういう脱ぎやすい格好になってきちゃうんですよね。とはいえオフの日も同じような格好ですけどね。いつでも筋トレできる格好が好きなんです。

— アーバンリサーチのイメージは?

笠松: なんか何を買いたいかわからないけど何かを買いたい時ってあるじゃないですか。そんな時にアーバンリサーチに行けば何かあるっていうイメージですね。自分用にコートを買ったことあるし、友達にあげるプレゼントを買ったこともありますよ。

— ファッションの情報はどこで得ることが多いですか?

笠松: 音楽やMVから影響を受けることが多いですね。うわっ、この着こなしカッコいいなみたいな。最近だとラッパーのNORIKIYOさんが着てたオレンジのパーカー買いました。

— ご自身のブランド『anomaly』について少し伺いたいのですが、やり始めたきっかけはなんだったんですか?

笠松: もともと絵を描くのが好きで、漠然と絵を描く仕事がしたいなと思っていたんです。小さい頃から時間があれば絵を描いていて。だから『anomaly』は自分のブランドを作りたいというよりは自分が書きためてる絵を発表する場みたいな感じですかね。でも次々と新作を発表するという感じにはしたくないんです。あくまで適当にのんびりとというスタンスがいいなって。買ってくださる方にも悪いじゃないですか。すごくありがたいことなんですけど、毎回買うのって大変だと思うんです。だから新作を出すタイミングに関しては本当に決まっていなくて。絵はたまりまくっているんですけどね。

— どんなタイミングで絵を描くんですか?

笠松: どこでも描けるんですが、時間帯は深夜じゃないと描けないです。なんかどうしても寝られない時ってあるじゃないですか。そういう時に描くことが多いです。

— インスピレーションは?

笠松: 僕、結構わけわからない写真とか撮るんですよ。なんかわからないけどこの構図いいなみたいな。例えばいまここにタバコの空箱と飲み干したアイスコーヒーのカップがあるじゃないですか。それをまとめて捨てようとぐちゃっとカップの中にタバコの空箱を入れてそれをぱっと見た時にこれめちゃくちゃキレイだなみたいな。嗜好品のタバコと嗜好品のアイスコーヒー。好きなものがそれぞれゴミになって、それが一つになる。これはゴミなんだけど、なんか意味を感じる瞬間があるんです。自分もいつかこうなるのかなみたいな。

— すごく哲学的ですね。どういった人に着て欲しいとかありますか?

笠松: もちろんデザインを気に入ってくれてというのも嬉しいですけど、お守り的な感じで着てくれるのが嬉しいですね。僕自身の話ですけど、自分が身に付けるものって全部意味を持たせて買いたいんです。この人から買ったとか、こういう時に買ったとか。例えばこの電話はあの人とご飯食べた帰りに契約したから絶対いい連絡が来るにちがいない、みたいな。そういう願掛けみたいなのを大事にしてて。だから『anomaly』を着てくださる方にも、そういう願掛けを持ってくれたらいいなって思います。しんどいことが続いたけどこの服を着てるから今日はいいこと絶対ある、みたいな。そう思ってくれたらめちゃくちゃ嬉しいですね。

— 今日みたいなファッション撮影と、普段のお芝居の時の気持ちの違いってありますか?

笠松: 僕の中では基本的に変わらないです。僕はモデルじゃないから洋服を綺麗に見せなきゃいけないという使命感もないし。むしろ台詞がない分気楽に楽しめました。ファッションでも芝居でも共通して意識するのは構図ですね。今どうやって撮られててどういう風に写っているか。それは自分がカッコよく写りたいということではなくて、画のバランスとして。こっちに結構余白あるから手あげたらバランスいいだろうなとか。

— なるほど合点がいきました。今日レンズを覗いていて僕はすごく楽だったんです。こっちが構図を意識しなくてもすでにかっこいいというか。だから僕はシャッターを押すだけ(笑)ありがとうございました。

笠松: いやいや、みんなやってるんじゃないですか?僕は芝居に関しても全部『画』と『声』でやっているんです。カメラに対してどういうポジショニングでいくかとどの声でいくか。それだけなんです。だからどういう表情でお芝居するかなんて考えたこともないし今日の撮影もそうですね。

— お芝居について少し伺います。普段の役作りはどのようにされていますか?

笠松: 基本的にしてないです。だけど例えば漫画とか映画でもそれを見たらそのモードになるじゃないですか。少年漫画見たら心が熱くなるし、恋愛映画見たら甘酸っぱい感じになるし。僕らは台本を読んでいるのでその気分になっているんです。だから役作りという役作りは本当にしてないです。華奢な設定の役でも筋トレはやめないですしね。そのかわり衣装に関してはすごく言わせてもらいます(笑)絶対長袖にしてくれとか。

— やはり衣装は役作りに大事ですか?

笠松: めちゃくちゃ大事だと思います。そこに関してはものすごく言わせてもらいます。自分の体型を変えない分、衣装のサイズ感だったり色味とかはこだわります。でもだからと言って自分の意見を押し通すことはしないです。そこは衣装部とか監督とかの意見も知りたいし、それ違うんじゃない?って言われたらあぁそうなんだって。それは妥協とかではなく客観的な意見もすごく大事だから。結局衣装が自分の思い通りにならなくても、極論僕のパフォーマンスが落ちるわけではないですからね。

— 現在ご出演中の『君と世界が終わる日に』での役作りはいかがですか?

笠松: してないです。また体をでかくしたねとか言われるんですが、そんなことないんですよね。いつも通り筋トレしてただけで。ただ今回竹内涼真さんが相当肉体を作ってらしたので、僕も筋トレに関してモチベーションが上がったのは間違い無いです。だから等々力の為にというより、竹内さんとちょっとでも筋トレの話題で盛り上がりたいという(笑)

— でもお二人の肉体はこの作品にリアリティーをプラスしているように思います。

笠松: あぁそれは嬉しいです。それは確かに竹内さんもおっしゃってました。この世界で生き抜く奴が華奢なわけないよなって。

— 今回のドラマに出演が決まった時の心境は?

笠松: 楽しみもありましたしプレッシャーもすごくありました。今まで自分がやってきたことが通用するのかなって。あとはセリフ覚えられるかなって(笑)
でも現場入ったら全然そんなこと考える暇もない感じで進んでいますね。

— ドラマの内容に少し触れたい思います。ずっと冷徹なイメージだった等々力ですが、6、7話くらいから少しずつ心情の揺れや感情的な側面が見えてきたように思います。演じていて難しくなかったですか?

笠松: 僕は心情の揺れを演じる方が楽なんですよね。自分がものすごく揺れる人間なので。

— そうなんですか。今日の衣装も即決されていたので、揺れているイメージがないです。

笠松: そこも表裏一体で、ものすごく揺れるから即決するみたいな。

— この作品は単なるゾンビドラマではなく、極限状態になった時の人間の醜さ、美しさ、そして正義とは何か、信じるとは何かを問う壮大な人間ドラマだと感じました。笠松さんは普段他人を信じやすいタイプですか?それとも信じにくいタイプですか?

笠松: うーん、難しいですね。信じるってなんなのかなって最近思うんです。例えば僕の大切な人が世間的に何か悪いことをしてすごく叩かれたとしても、僕にとってその人が大切な人には変わりない。もし一つの行動でその人が信じられないってなったとしたら、それは最初から信じてないでしょって僕は思うんです。この作品の中でも「信じる」「裏切られる」のストーリーが出てきますが、『裏切られた』と思う時点で、はなからあまり信じてなかったんですよきっと。信じるっていうのは自分自身の問題で、相手にこうしてほしいとかこうしてくれるだろうって、それはあなたの勝手な都合なんじゃないの?って思います。だから僕は自分が信じやすいか信じにくいかはよく分からないけど、一回信じたらそれがずっと続くタイプなのかなとは思いますね。

— それでは『正義』に関してはいかがですか?

笠松: 正義っていう言葉はあまり好きじゃないです。正義と正義のぶつかり合いが戦争じゃないですか。だから「ゆとり」が必要なんじゃないかって思います。あまり他人に期待しすぎない、でも自分は頑張るよっていうスタンスがいいんじゃないかなって今の僕は思いますね。また何日かしたらこの答えも変わったりするんですけど。難しいですね。だけど間違いなく自分は正義じゃないんだと思います。誰かにとっての正義にはなれないですね。

— ドラマの今後の見どころを聞かせてください。

笠松: エンディングで毎回この世界になる前のストーリーが描かれているのですが、そこでこれからかなり胸熱シーンが出てきます。その人間ドラマがかなり見どころですね。あとはもっと言うと、テレビドラマが終わった後に放送するHuluもめちゃくちゃ面白いです。ぜひ観てください!

— 最後に、笠松さんが役者として目指しているところはありますか?

笠松: 規模の大きい映画でも小さい映画でも、ゴールデンの連続ドラマでも深夜ドラマでも朝のドラマでも、バラエティでも取材でも全部やっていきたいですね。日本の役者って本当にすごい人が多いんです。上手いし魅力的な人ばかりで。でもそういう人たちってどんどん地上波のドラマやバラエティに出なくなったりするじゃないですか。それももちろんいいとは思いますが、僕はその立場になってもずっと出ていきたいなと。自然体で色々なことができたらいいなと思ってます。応援宜しくお願いします!

SHIRT: SEEALL ¥39,600 (税込)
SHIRT: COSEI ¥18,700 (税込) ※4月発売予定
INNER: URBAN RESEARCH ¥7,150 (税込)
PANTS: SEEALL ¥46,200 (税込)
SHOES: YOAK ¥27,500 (税込)

Profile

笠松 将
1992年生まれ、愛知県出身。現在放映中のドラマ『君と世界が終わる日に』を始め、映画『えんとつ町のプペル』スペシャルMV、清水翔太『Princess』MVなど、数々の話題作に出演。初主演長編映画『花と雨』では圧倒的な存在感と脆く儚い繊細な演技で観た人に忘れられないインパクトを残した。2021年秋、テアトル新宿ほか全国順次公開予定の映画『君は永遠にそいつらより若い』にも出演。今年最も目が離せない俳優といっても過言ではない。

『君と世界が終わる日に』
NTV1月期日曜ドラマ
シーズン1(全10話):2021年1月〜毎週22時30分放送
シーズン2(全6話):2021年3月〜Huluオリジナル配信
https://www.ntv.co.jp/kimiseka/

『anomaly』
https://kasamatsu.official.ec/

ヘアメイク/SHUTARO(Vitamins)
企画・構成・衣装・写真・文/杉浦 優

団地GUY ARCHIVES

第一回 笠松 将
第二回 藤原 大祐
第三回 金子 大地
第四回 前田 公輝
第五回 山本 涼介
第六回 須賀健太

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