長崎=恐竜という新たな魅力で盛り上がる
JAPAN MADE PROJECT NAGASAKI
“日本の地域はおもしろい”を合言葉に各地域で取り組みを行うJAPAN MADE PROJECT(以降JMP)。今回は、JMP発祥の地・長崎のJMP NAGASAKIより発信する“DinosaUR Nagasaki”という恐竜をテーマにしたアイテムについてお届けします。JMP NAGASAKIのスタート時から商品企画に携わる長崎雑貨 たてまつるの高浪高彰さん、そして長崎市恐竜博物館がある長崎のもざき恐竜パーク所長の安達考紀さんを迎えて語っていただきました。
最初は南蛮人モチーフからスタート。
まずはJMPが誕生した長崎で、本プロジェクトに最初期から関わってきたキーマン的存在である長崎雑貨 たてまつるの高浪さんに、これまでの取り組みについて聞いてみました。
高浪 長崎に『ra-ku』という春夏秋冬に発行されてる季刊誌がありまして、そこの方から紹介していただいたのがアーバンリサーチさんとの最初の出会いですね。アミュプラザ長崎に出店するタイミングでコラボする先を探してるというお話でした。アーバンリサーチの方が全員髭面で黒いカウボーイハットみたいなのを被られていたので、マカロニ・ウェスタンの人たちが入ってきたような感じでオシャレでビックリしました(笑)。
高浪 そのときに“長崎のアーバンリサーチでショッピングをする”というコンセプトを説明していただき、バンダナのデザインを依頼されました。大河ドラマ『龍馬伝』の影響もあり数年間は坂本龍馬ブームがあったんですが、個人的にちょっと飽きていたので南蛮人(ポルトガル人)を思いついたんです。南蛮人は昔の長崎土産にはちょこちょこ使われてきたモチーフだったんですが、最近は全く使われていなかったのでちょっと新鮮でいいんじゃないかなということで、アーバンリサーチが長崎の港にあって、そこに南蛮人が入って来てショッピングするという絵を描きました。その南蛮人のコンセプトにOKをいただいたので、手ぬぐいやガーゼタオル、風呂敷、カステラまでといった感じで10アイテムくらいの展開で広げていきましたね。
時代は白亜紀までタイムスリップ。
南蛮人から始まったコラボレーションアイテムは2年目以降も継続され、出島の時代で紅毛人(オランダ人)を題材にしたデザイン、その翌年は幕末時代に進めて坂本龍馬を題材にしたデザインといった流れで、時代を進めていきながらその時代からインスパイアされたデザインのアイテムが展開されていきました。今回のダイナソーシリーズ誕生の話も聞いてみます。
高浪 2019年頃に長崎市恐竜博物館が2年後にできるという情報が入ってきたので、恐竜を作りたいですねっていう話をしていて。ただ、一番古い時代が戦国期の南蛮貿易時代で、そこから一気に白亜紀まで飛ぶには距離があり過ぎるので、間をとって縄文時代で作り、恐竜博物館がオープンする年にダイナソーシリーズを作りましたね。
安達 長崎市恐竜博物館は2021年10月29日にオープンしました。同年の7月くらいから準備に入りまして、その時にインスタグラムを見ていたら恐竜の手ぬぐいを販売している投稿を発見したんです。それがアーバンリサーチさんの手ぬぐいだったんです。個人的にも元々アーバンリサーチさんが好きでアパレルなどもよく買っていたので、僕からアーバンリサーチさんへ連絡して、恐竜博物館のミュージアムショップにぜひとも置かせていただけないかというお願いをしました。自然史博物館なのでミュージアムショップには恐竜関連のグッズばかりが並んでいまして、そこにアーバンリサーチの商品が並ぶということが非常に意味があるなって思っていました。恐竜に興味のない人に対してどうアピールできるのかというところで、どこかと一緒に何かやりたいなと思っていましたので偶然ですね。
“DinosaUR Nagasaki”のはじまり。
長崎市恐竜博物館のオープンをきっかけにJMP NAGASAKIでスタートした恐竜の手ぬぐい。そこから恐竜博物館までも巻き込んで誕生した“DinosaUR Nagasaki”についても聞いてみました。
谷水 手ぬぐいがすごく好評だったということで、今年11月のアーバンリサーチ アミュプラザ長崎店のリニューアルというタイミングで何か新しい長崎を魅せる意味でJMP NAGASAKIを進化させたいと思っていました。長崎=恐竜というのは新しいなと感じていました。それで、何か新しい商品を作れないかと思ったときに元々たてまつるさんでも好評だったバンダナを手ぬぐい同様に恐竜モチーフで作りたいなというのが一つあったのと、文明堂のカステラとのコラボレーションもアミュプラザ長崎店のオープン時にやっていたので、それを恐竜柄に落とし込んだら絶対面白いと思い作りました。
谷水 次の企画は波佐見焼とのコラボレーションを考えています。毎年やっているHASAMI STOREというイベントに協力していただいているaiyuさんのショップに手ぬぐいのデザインを落とし込んだ器が販売されていて、そういったことができる技術を知ったんです。それで、アミュプラザ長崎店のオープンから親交がある高浪さんのデザインを器に落とし込んだらすごい面白いなと。さらに、そこに恐竜のデザインを載せたら“DinosaUR Nagasaki”シリーズが完成すると思いaiyuさんと高浪さんを繋いで商品開発を進めていますね。
高浪 絵柄をデザインするときに、“長崎のアーバンリサーチでショッピングをする”というのをコンセプトにこれまで作ってきたんですが、この“DinosaUR Nagasaki”シリーズに関しては恐竜が服を着たりサングラスをしたりすると一気にファンタジーレベルがあがっちゃって、これまでのシリーズとの整合性が取れなくなるというのがあり、どうしたらそこそこのリアリティを持って恐竜がアーバンリーチでショッピングできるのかを半年くらい考えていたんですね。そんなときにたまたまテレビで恐竜の特集番組を観たんですけど、驚いたことに恐竜がモヒカンだったんですよ。
高浪 でも真面目な番組で、要は羽毛恐竜というのが発見されたらしく、それ以降は割と恐竜に毛を生やしたものが教育番組で使われるようになったというのを初めて知ってですね。髪の毛があるんだったらファッションに持っていけるなって思いました。だから、“DinosaUR Nagasaki”の絵のコンセプトは稲佐山を石山で描いて恐竜たちがバナナの葉っぱで作ったショッパーを持っているんですね。みんなどこかに毛が生えていて、その毛の部分はアーバンリサーチで買ったウィッグ的なものでオシャレとしてつけているということで着地させました(笑)。ちょうどDinosaurの綴りの最後がURだったので決まったな、という感じです(笑)。
安達 長崎市恐竜博物館は日本で3ヶ所目の恐竜博物館なんですよ。簡単に言うと教育施設なんです。教育施設では基本的にファンタジーは扱えなく、展示物が全て学術的な見解のもとに成り立っていまして、これをもとに教科書が作られたりするんです。ですので、ミュージアムショップに置いている商品も嘘がないように厳選しています。“DinosaUR Nagasaki”シリーズの商品にも恐竜のウンチクカードが付属されていて、そちらの内容はうちで監修しております。
安達 たてまつるさん自体がそうなんですが、非常に長崎の文化や歴史というものを掘り下げて作品を作っていて、今回も新たに長崎市の一つのトピックスとして恐竜というものが現れて、それを掘り下げて勉強していただいて、ティラノサウルスに毛が生えていたことを見つけてくれて。学術的に毛が生えていたことがわかってきたので、うちの博物館でも展示物の頭に毛が生えています。そういったことを、この“DinosaUR Nagasaki”シリーズの商品を通してアーバンリサーチさんでもお伝えできるということは、すごい大きな取り組みだなと感じております。
谷水 アーバンリサーチ アミュプラザ長崎店のリニューアルにあたって、“DinosaUR Nagasaki”シリーズの商品を多く仕込んでいますので、長崎市恐竜博物館さんの協力もあり店内にコーナーを作る話も進んでおります。長崎市恐竜博物館さんから化石のレプリカなどをお借りして展示する予定です。
JMP NAGASAKIの今後について。
谷水 アミュプラザ長崎の新館のテーマが“長崎らしさ”というものだったんですが、今まで通りの長崎らしさではなく、新しい価値観の長崎らしさというのを、もっともっと僕たちが皆さんと同じ目線で長崎の街に入り込んで一緒に発信したいなという想いはあります。今回は恐竜にスポットを当てて発信しており、今後ももっと恐竜というものを大きくしていければと思いますし、また新しい何かを発見して、それも広められたらいいなと思っております。
高浪 元々僕がたてまつるをオープンしたのが20年くらい前になるんですが、その時点では、まだ軍艦島はほぼ誰にも知られていませんでした。すごいフォトジェニックなところがあると友人から聞いていた程度で、その後に世界遺産にしたいという運動が始まったんです。教会群も世界遺産になりましたが産業遺産ということで三菱のジャイアント・カンチレバークレーンとか、ああいうものは20年前には全く誰も知らなかったんですね。
高浪 それが10年後20年後にどんどん長崎の新名所としてブランドになっていくのですが、そういうことって他の地域ではあまりないと思うんですよね。その長崎の伸びしろの深さにちょっと驚いています。コロナが明けて外国の観光客の方が増えたんですね。肌感覚として10年後20年後にはもう半分くらいは外国の方の観光客になるんじゃないかなっていう気がしています。今回のアミュプラザもそうですし、ベイエリアを中心にさまざまな施設ができています。これはおそらく国のグランドデザインとして、長崎を国際都市にしていくつもりなんでしょう。元々、長崎は南蛮貿易時代から外国人が行き交っていた街なので、そういう場所にまた戻っていくということで、令和以降の国際都市としての長崎として、すごくワクワクするような活気のあるところになっていく予感がします。そういうものに対応する商品構成にもしたいですし、そういうデザインが今後できるんだろうなと思いとても楽しみです。
安達 長崎という街を恐竜というコンテンツを使って研究していくのが僕の役目だと思っていて、研究者が発表したものを僕ら民間人がしっかりと多くの方に発信して、今回の“DinosaUR Nagasaki”シリーズの商品開発のようなことで、恐竜を通して野母崎という地域がもっと大きく広がっていくことに力を注いでいきたいなとは思っていますね。高浪さんがおっしゃったように、これからの長崎は国際都市として、また日本の玄関口になっていくのかなと改めて痛感していますので、恐竜から使えるものを最大限に考えていきたいなとは思っていますね。
長崎雑貨 たてまつる
https://tatematsuru.thebase.in/
長崎市恐竜博物館
https://nd-museum.jp/
JAPAN MADE PROJECT
“日本の地域はおもしろい”
日本には、まだ知らないワクワクすることであふれています。私たちは、その土地を愛してやまない地域の方々とともに、おもしろさや課題に向き合いながら、未来につながる地域の“すごい”を発信していきます。
> Web site
Instagram @ japan_made_project
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Text/Nao Takamatsu