CULTURE TRIP FEB 22,2023

60mins Local Trip from TINY GARDEN 蓼科
Vol.10 自然の神秘、横谷渓谷の氷瀑を巡る

アーバンリサーチの運営する宿泊施設TINY GARDEN 蓼科のスタッフが編集部を発足してスタートした連載も今回で10回目。施設を飛び出し、「移動時間60分以内」をテーマに、酒蔵見学やまち歩き、登山、スキー、温泉など、蓼科周辺のおすすめのスポットやコースを紹介してきましたが、今回訪れたのは冬でも一番寒いこの時期にしか出会うことができない自然が作り出す神秘、横谷渓谷の「氷爆」。電車とバスで巡ることもできるので、冬のドライブが不安な方もぜひご覧ください。

TINY GARDEN 編集部

過去の記事はこちら
> Vol.1 発酵する“上諏訪” まち歩き
> Vol.2 八ヶ岳の白い森、山小屋のビーフシチュー
> Vol.3 滑って、触れて、眺めて親子で過ごすスノーバケーション
> Vol.4 雨で潤う、原生林に広がる苔の世界
> Vol.5 自然の中で遊び、学ぶ。子どもの記憶に刻まれる夏の思い出を
> Vol.6 子どものスキーデビューを蓼科・八ヶ岳で
> Vol.7 樹氷の広がる真っ白き森を巡るスノーシューハイク
> Vol.8 「諏訪富士」登山とメスティン山ごはん
> Vol.9 紅葉の秋・2000m級の双子池ハイクと八ヶ岳ふもと旅

蓼科高原は、白樺湖や豊かな車山高原の風景を堪能できるドライブロード「ビーナスライン」、北八ヶ岳ロープウェイなど、自然にまつわる施設や観光地を多く有しています。今回ご紹介する横谷渓谷もそのひとつ。

横谷渓谷はTINY GARDEN 蓼科から約40分で歩いてアクセスできる蓼科の冬の名所です。冬の運転が心配という方でも茅野駅からのアクセスが可能でメルヘン街道バスで35分で横谷渓谷入口に到着します。

標高はおよそ1,500m。夏は避暑地として、秋は紅葉と年間を通して多くの観光客が訪れる人気のスポットです。渋川に沿って遊歩道をゆっくり歩きながら、乙女滝や霧降の滝、大滝のマイナスイオンを身体いっぱいに感じながら歩くことができる、全長約6kmのハイキングコースがあり、その横谷渓谷入口から横谷観音展望台まで向かう、往復およそ3時間のコースを散策します！

蓼科湖からはTINY GARDEN 蓼科の前の道を横谷渓谷方面へ。
途中案内板も立っているので、迷うことなく横谷渓谷へ行くことが可能です！

横谷渓谷入口に到着！！

入り口には大きな看板に「横谷峡」の文字が！そこから歩き出して数分ほどで「木戸口神社」が見えてきます。全国にある諏訪大社の総本社である「諏訪大社」の小宮の1つです。

豪快に流れ落ちる「乙女滝」

横谷渓谷入り口を進み、右側にあるゆるやかな階段を少し下ると、落差約15mの迫力ある乙女滝が見えてきます。乙女が滝に打たれて祈ったことからその名がついたそうで、「願い事が叶う滝」とも言われているパワースポットだそう。近くまで行くと水しぶきがとても冷たく、少しずつ氷瀑ができていました。
氷瀑とは凍りついた滝のことを指し、滝から流れる水が外気に触れることで凍っていく現象です。氷瀑は氷点下の気温が続く、とても寒い地域でしか見ることができません。近年では地球温暖化の影響もあってだんだんと少なくなってきているそうです。

乙女滝からはとても気持ちのいい川沿いの自然道を歩きます。温泉の成分が川の水に流れ込んでいるのか、少し色が変わっています。積もった雪と川の色の絶妙な色合いに自然がつくりだす美しさを感じます。時に立ち止まり深呼吸をして、冷たい空気を胸いっぱい吸い込みながら、ゆるやかな上り道を進みます。

霜降りの滝へ行く途中に岩壁一面が氷柱になっている場所を発見！思わず「すごい！！！」と声にでてしまうほど感動しました。近くに寄って触ってみると、ひんやり冷たくてツルツルして気持ちいい！よく見ると水が滴ってできた氷柱が上から何重にもなっていてとてもキレイでした。

マイナスイオン20000！「霧降の滝」

乙女滝からゆっくり歩くこと約20分ほど。右側に見えてくるのは霧降の滝です。落差約5mの霧降の滝は乙女の滝のような豪快さはないものの、左右に分かれて流れる様は風情たっぷり！完全には凍っていないですが、流れる水と氷瀑とダブルで楽しめました。

「王滝」が見える横谷展望台へ

霧降の滝を過ぎると少しずつ道が細くなっていき、上り坂が続きます。寒波もあって遊歩道はしっかり雪。段差や川沿いを歩き過ぎないように気をつけて進みます。

霧降の滝から約15分。鷲が羽を広げたように見える「鷲岩」に到着。

そして大滝に向かう道中またしても岩壁一面にできた氷柱のスポットが！先程の場所と比べると倍以上大きく、またしても感動！！こちらは氷の色が全体的に青白く、さらに時間をかけてできたことがうかがえます。

その先を見ると上流から川の水が数十mにわたり、1枚の大きな岩の上を流れる「一枚岩」。たくさんの水が一枚の岩の上を豪快に流れていて、普段なかなか見ることのない景色です！

一枚岩を過ぎ王滝と横谷観音の分岐が見えてきたら、散策のゴールまであと少し・・・！
このあたりまで来ると少し急な坂になり息がきれますが、ゆっくり進めば大丈夫です。

「横谷観音展望台」方向へ

先の道は思っていたよりもさらに雪がついていて歩くのが大変でした。この時期はチェーンスパイクが必須です。
遊歩道をゆっくり歩き、最後は少し急になった道を登ると観音様が奉られたお堂のある「横谷観音」が見えてきます。ようやく今日の目的地へ到着！

しんしんと雪の降る日、お堂の中には観音様が鎮座していました。
無事にここまで来られたこと、帰りの安全を願い感謝を伝え手を合わせました。

横谷観音の展望台からは大滝を見ることができます！水が流れる大きな音をたてて、豪快に名前のごとく流れ落ちているのが分かります。

ここで疲れた体に甘いものを・・・ということで、展望台にある東屋で持ってきた和菓子とお茶で小休憩。甘い和菓子とあったかいお茶が冷え切った身体にぐっと染みわたります。

展望台より下山開始！！

途中鹿の群れと遭遇！！かわいらしい小鹿もいて、こんなに寒く厳しい冬の季節でも食料をちゃんと確保し生きている、野生の鹿たちの生命力の強さを感じました。

下りは登りと違いとても滑りやすく、とくに今回は雪も多いので慎重に下ります。
登りより下りの方がスイスイ進めて楽なように感じるかもしれませんが、しっかりと足裏で踏ん張らないといけないため、下半身に負担がかかり意外と体力を使います。
ですが、横谷渓谷は一般登山等に比べ整備がされている初級コースなので、冬山のトレーニングとしてもおすすめです！

また行きに立ち寄ったスポットをまた通って帰れるので、2回楽しめるのもこのコースのいいところ！氷柱、氷瀑にまた足を止めてしまいます。

横谷渓谷入口に無事に到着！

私が蓼科に来て2年目の冬。四季折々で楽しめる横谷渓谷ですが、冬の横谷渓谷は初めてきました。横谷渓谷は氷瀑がとても有名。一年で一番寒いこの季節ならではの自然が作り出す氷がすごく美しくて、氷瀑以外にもたくさん見所があって、思った以上に足を止めて横谷渓谷の自然に見入ってしまいました！
いつもピークを目指す登山をしているのですが、たまにはこんな風に自然を見て感じながらゆっくり歩く、そんな登山の楽しみ方もいいなと思いました。TINY GRDEN 蓼科からも車で15分。TINY GARDEN 蓼科で軽アイゼンの貸し出しも行っているので、皆さんにぜひ訪れていただきたい場所です！！

横谷渓谷帰りにおすすめ

蓼科食堂やまのいきあめのこえ

横谷渓谷の帰りにぜひおすすめしたいこちらの食堂。横谷渓谷入口からも車で10分。ご夫婦お二人で営まれている、2022年の12月にオープンしたばかりの新しいお店です。
「ヴィーガン」、「グルテンフリー」、「シュガーフリー」、「自然水のみ」にこだわり、食材も自分たちで土地を耕し、種を植え、お店も地域の皆さんと共に歩んでいくことを大切にされています。

素材のおいしさやエネルギーを感じられるように一つ一つこだわり、また、食べてくれる方の幸せを願って料理を作られていています。味もしっかりついていて、見た目も色鮮やかでボリューム満点！！ 2人ともおなかいっぱい、幸せな気分になりました！！
お料理からもうかがえますが、お客様ひとりひとりとゆっくり話しをする姿を見て、ご夫婦ふたりの丁寧であたたかい人柄が、空間をさらに居心地良くしているように感じました。